直接支払制度を使わなかった場合でも、出産育児一時金は出産日の翌日から2年以内であれば事後申請(償還払い)で受け取れます。まず全額を医療機関の窓口で支払い、加入する保険者(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国民健康保険)へ支給申請書と領収・明細書等を提出します。厚生労働省は原則50万円の支給と申請期限2年を、協会けんぽと市区町村は加入先別の申請先と必要書類を案内しています。

手続きの概要

出産育児一時金は、出産した時点で日本の公的医療保険に加入し、妊娠85日(4か月)以上で出産した方が対象です。支払方法は3つあります。

3つの支払方法

  • 直接支払制度:医療機関が保険者に請求し、窓口負担は費用から50万円を差し引いた残額のみ
  • 受取代理制度:事前に支給申請書(受取代理用)を保険者へ提出し、医療機関が代理で受け取る(出産予定日まで2か月以内の方・届出医療機関に限る)
  • 償還払い(事後申請):いったん全額を窓口で支払い、後から保険者へ支給申請して受け取る。直接支払を利用しない場合や海外分娩、非対応施設ではこの方法になります

対象者と支給額【2026年最新】

支給額の目安
区分1児あたりの支給額
2023年4月1日以降、産科医療補償制度加入機関で在胎22週以後の出産50万円
同 加入機関で在胎22週に達しなかった出産48万8,000円
産科医療補償制度未加入機関での出産48万8,000円
双子など多胎胎児数分(2人で100万円など)

厚生労働省「出産育児一時金等について」と協会けんぽ「出産育児一時金」は、2023年4月1日以降の原則額を50万円、満たさない条件では48万8,000円としています。領収・明細書に対象分娩かどうかの記載があります。

申請期限は出産日の翌日から2年

申請期限は出産日の翌日から2年以内です。厚生労働省Q1と千葉市の案内が同日で明記しています。起算日は出産日の翌日であり、土日祝の扱いで延長される規定はありません。過ぎると健康保険法上の時効で原則支給されません。

期限のポイント

  • 例:4月10日出産 → 4月11日起算 → 2年後の4月10日が期限
  • 退職などで保険者が変わっても、申請先は出産時点で加入していた保険者です
  • 資格喪失後6か月以内に出産し、喪失日前日に1年以上継続加入していた場合は、以前の保険者へ請求することも可能です(協会けんぽ 資格喪失後の支給)

申請先は加入先で分かれます

加入先別の申請先
加入している保険申請先主な提出方法
協会けんぽ(全国健康保険協会)住所地を管轄する都道府県支部郵送または窓口
健康保険組合(大企業の健保組合など)各健康保険組合組合の案内に従い郵送・窓口
国民健康保険(市区町村国保)住民登録のある市区町村の国民健康保険窓口窓口または郵送
共済組合等各共済組合共済の案内に従う

必要書類|加入先と状況で分岐します

全国共通で求められる書類に加え、市区町村国保は合意文書や身分証の提示を具体的に列挙しています。加入先の案内を必ず併せて確認してください。

必要書類の分岐
書類被用者保険(協会けんぽ・組合)国民健康保険(市区町村例)
支給申請書健康保険出産育児一時金支給申請書(協会けんぽ様式)市区町村所定の支給申請書
出産費用の領収・明細書写し必要(直接支払を利用していない旨の記載があるもの)必要(直接支払を利用していないことが記載された領収書)
直接支払制度の合意文書医療機関との合意文書(利用していないことが分かるもの)千葉市・鹿児島市ともに合意文書を明記。ない場合は領収書の記載で代替可の自治体あり
母子健康手帳・出生証明書必要(出生届前は出生証明書)母子手帳(出生届前は出生証明書)
振込先口座情報被保険者名義口座世帯主名義口座が分かるもの、公金受取口座登録済みなら不要の場合あり
本人確認・資格確認保険証・資格確認書等資格確認書・マイナンバーカード・運転免許証等、世帯主と出産者のマイナンバー確認書類、来庁者の顔写真付き身分証
委任状世帯主以外が受け取る場合は依拠世帯主以外が申請する場合は必要
死産等の追加書類該当時は案内に従う死体検案書・埋葬許可証・死産証書等

手順|直接支払を使わなかったとき

退院時に全額を支払い、領収・明細書と合意文書を受け取る

直接支払を利用しない旨を医療機関へ伝え、窓口で全額を支払います。明細書と領収書に「直接支払制度を利用していない」旨の記載があるか確認し、合意文書(直接支払制度を利用しないことを確認する文書)も受け取ります。

加入先の申請書を取得する

協会けんぽ・健康保険組合は各保険者の様式(健康保険出産育児一時金支給申請書)、国民健康保険は市区町村所定の様式を用います。多くは郵送でも取り寄せ可能です。

必要書類をそろえ、申請先へ提出する

上記「必要書類」表を参考に、領収・明細書の写し、合意文書、母子手帳、口座情報、本人確認書類を添えて、加入する保険者へ提出します。協会けんぽは支部、国民健康保険は市区町村国保窓口です。郵送の場合は原本の扱い(写し可否)を案内で確認します。

支給決定通知を受け取り、口座へ振込を確認する

審査後、支給決定通知が送付され、指定口座へ振り込まれます。直接支払を利用した場合に費用が50万円を下回ったときは、差額は別途「差額申請」で請求します。直接支払を使わなかった償還払いの場合は、初回で全額(原則50万円)が支給されます。

よくある失敗と注意点

注意点

  • 2年を過ぎると原則支給されません。出生届や児童手当と同時期に手続きし、共働きで退職を伴う方は保険者切替の前に出産時点の保険者を確認します
  • 直接支払と受取代理は併用できません。受取代理は出産予定日まで2か月以内の方のみ、届出医療機関に限られます
  • 海外で出産した場合も直接支払の対象外のため、償還払いで2年以内に加入保険者へ申請します
  • 帝王切開等で健康保険が適用された部分は高額療養費の対象になる場合があります。合算の可否は協会けんぽ等の案内で確認します
  • 出産費用が50万円未満でも自己負担は軽減されますが、医療機関の費用設定自体は「出産なび」で事前に比較できます

よくある質問

直接支払制度を利用しないと損をしますか。支給額は変わりますか。

支給額は同じです。直接支払は窓口負担を減らす仕組みであり、最終的な支給額(原則50万円)は直接支払でも償還払いでも変わりません。償還払いの場合はいったん全額を立て替えますが、2年以内に申請すれば同額が支給されます。

合意文書を紛失しました。申請できますか。

領収・明細書に直接支払を利用していない旨の記載があれば、合意文書なしでも受理される場合があります。千葉市は領収書で確認、鹿児島市は合意文書と領収・明細書の両方を掲示しています。自治体・保険者で扱いが異なるため、申請先へ事前に確認し、再発行が可能か医療機関にもお問い合わせください。

退職直後に出産しました。どこへ申請しますか。

出産時点で加入していた保険者へ申請します。退職後6か月以内で、退職日までに継続して1年以上加入していた場合は、以前の被用者保険(協会けんぽや健保組合)へ請求することも選べます。重複して2か所から受けることはできません。

申請から振込までどのくらいかかりますか。

保険者と混雑状況により異なりますが、審査後に支給決定通知が送付され、指定口座へ振り込まれます。直接支払の差額申請は出産後概ね3か月後に申請書が送付されると案内されています。不明な場合は加入先の支部・組合・市区町村窓口へお問い合わせください。

公式情報と問い合わせ先

手続きの詳細は加入する保険者で異なります。必ず最新の公式案内を確認し、期限内に申請してください。

問い合わせ先の目安

  • 被用者保険(協会けんぽ・健康保険組合)に加入の方:ご加入の保険者(協会けんぽは都道府県支部)
  • 国民健康保険に加入の方:お住まいの市区町村の国民健康保険窓口(千葉市は各区役所市民総合窓口課国保班、鹿児島市は国保課給付係等)
  • 制度の解釈に関すること:厚生労働省 保険局保険課・国民健康保険課(代表03-5253-1111)

本記事は2026年8月28日時点の厚生労働省、協会けんぽ、千葉市、鹿児島市の公式情報を基に作成しています。自治体や組合で手続き・書類が異なる場合がありますので、申請前に必ずご自身の加入先の最新案内をご確認ください。