結論:配偶者が65歳になると夫の加給年金は終了し、条件を満たす配偶者の老齢基礎年金に振替加算が引き継がれます。原則として振替加算の手続きは不要ですが、後発事由に当てはまる場合は該当届の提出が必要です。
制度の概要
加給年金は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が65歳到達時点で生計を維持している配偶者や子がいるときに老齢厚生年金に加算される仕組みです。加算のためには届出が必要です。配偶者が65歳になると夫に支給されていた配偶者分の加給年金は打ち切られます。このとき配偶者が老齢基礎年金を受けられる場合には、一定の基準により配偶者自身の老齢基礎年金に振替加算が加算されます。日本年金機構の2026年8月31日更新情報と2025年4月1日更新の手続き案内で確認しました。
対象者
次のいずれかに当てはまる世帯の方が中心です
- 厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あり、65歳到達時点で生計を維持している65歳未満の配偶者や子がいる方
- 加給年金の対象だった配偶者が65歳を迎え、振替加算に引き継がれるか確認したい方
- 共済組合等の加入期間を除いた特例期間(40歳以後15年から19年など)で加給の対象になるか確認したい方
加給年金の要件と金額(令和8年4月から)
| 対象 | 加給年金額 | 年齢などの条件 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 243,800円+特別加算36,000円から179,900円(合計279,800円から423,700円) | 65歳未満であること |
| 1人目・2人目の子 | 各243,800円 | 18歳到達年度の末日までの子または1級・2級の障害がある20歳未満の子 |
| 3人目以降の子 | 各81,300円 | 18歳到達年度の末日までの子または1級・2級の障害がある20歳未満の子 |
配偶者加給の特別加算は、老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて決まります。昭和18年4月2日以後に生まれた方は179,900円が加算され、合計423,700円になります。昭和9年4月2日から昭和15年4月1日生まれの方は36,000円で合計279,800円です。
配偶者65歳到達時の切替えの考え方
夫が受けている老齢厚生年金などの加給年金の対象だった妻が65歳になると、夫に支給されていた加給年金額はなくなります。このとき妻が老齢基礎年金を受けられる場合には、生年月日に応じた金額が妻自身の老齢基礎年金に加算されます。これが振替加算です。妻が65歳より後に老齢基礎年金の受給権が発生した場合でも、一定の要件を満たすときは振替加算が加算されます。
切替えで押さえる3点
- 夫の加給年金は配偶者の65歳到達で打ち切りになります
- 配偶者の老齢基礎年金に生年月日応じた振替加算が引き継がれます
- 振替加算は昭和41年4月1日までに生まれた方が対象で、昭和41年4月2日以後生まれの方は対象外です
手続き要否の分岐
年金を請求する際の裁定請求書に配偶者の年金証書の基礎年金番号・年金コード、配偶者の氏名および生年月日を正確に記入することで振替加算が行われます。配偶者が年金の受給権を有していない場合は配偶者の基礎年金番号、氏名および生年月日を記入します。裁定請求書を記入する際は必ずこれらの事項を記入してください。
基本的には振替加算を受けるための手続きは必要ありません。ただし妻が65歳になった後に夫が厚生年金保険などの加入期間をあわせて240月以上の老齢年金や障害年金を受けられるようになった場合などは、新たに振替加算を受けるために国民年金老齢基礎年金額加算開始事由該当届の提出が必要です。退職による改定で240月以上になった場合も同じ届出が必要です。
該当届が必要か迷う場合の確認順
- 配偶者が65歳到達済みで、夫の年金に加給が付いていたかを確認します
- 夫が65歳後に240月を満たす年金を受けられるようになったか、退職改定で240月以上になったかを確認します
- 当てはまる場合は該当届を提出し、当てはまらない場合は原則手続き不要として様子を見ます
- 判断が難しい場合は裁定請求書の記載内容を持って年金事務所へ相談します
必要書類と提出先
該当届に必要な主な添付書類
- 受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本(受給権者と配偶者の続柄確認用)
- 世帯全員の住民票の写し(続柄・筆頭者入り、生計同一関係確認用)
- 受給権者の所得証明書または非課税証明書のいずれかひとつ(直近のもの、生計維持確認用)
添付書類は原本を用意し、戸籍と住民票は加算開始日より後に発行され、提出日の6か月以内のものを用意します。該当届に本人や対象者の個人番号を記載することで添付を省略できる場合がありますが、戸籍などの提出を求められることがあります。提出先はお近くの年金事務所です。様式は国民年金老齢基礎年金額加算開始事由該当届を使用します。
振替加算の対象条件と金額の目安
振替加算の対象になる配偶者は、老齢基礎年金を受給する資格を得たとき(満65歳到達時)に夫の年金の加給対象だった方のうち、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれ、自身の厚生年金などの加入期間が240月未満などで一定の期間未満である方です。生年月日ごとの加入期間の上限は昭和22年4月1日以前180月から段階的に延び、昭和25年4月2日から昭和26年4月1日は228月です。
振替加算の年額は配偶者の生年月日で決まり、昭和61年4月1日に59歳以上の方は243,100円で、若くなるほど減っていきます。たとえば昭和30年代後半は数万円台、昭和40年4月2日から昭和41年4月1日は16,335円です。昭和41年4月2日以後生まれの方は振替加算の対象外です。月額に直すと対象上限の方は20,258円程度、昭和40年代前半の方は1,361円程度になります。
よくある誤解と注意点
混同しやすいポイント
- 加給年金は自動で振替加算に変わるものではなく、配偶者自身の老齢基礎年金への加算として引き継がれます
- 振替加算は増額の対象にならず、繰下げ待機中は受け取れません
- 配偶者が20年以上の老齢厚生年金などの受給権を持つ場合や障害年金受給中は配偶者加給が停止されます
- 在職による支給停止中も受給権がある場合は令和4年4月以降は停止が原則です
提出直前の最終確認
配偶者が65歳になったら何か届出が必要ですか?
原則として振替加算を受けるための手続きは必要ありません。ただし65歳後に夫が240月以上の年金を受けられるようになった場合や退職改定で240月以上になった場合は、老齢基礎年金額加算開始事由該当届の提出が必要です。
昭和41年4月2日以後生まれの配偶者は振替加算を受けられますか?
昭和41年4月2日以後生まれの配偶者は振替加算の対象外です。夫の加給年金は配偶者の65歳到達で終了し、振替加算の引継ぎはありません。対象外の場合は世帯収入の見直しが必要です。
次の手続き:配偶者の65歳が近づいたら、夫の年金証書と配偶者の生年月日・加入期間を確認します。後発事由に当てはまる場合は添付書類の原本をそろえて年金事務所へ相談し、当てはまらない場合は裁定請求書の記載を整えたうえで原則手続き不要として受け取ります。