共有名義の固定資産税の納税通知書は代表者1人にだけ送付され、持分で分けて送ることはできません。送付先を別の共有者に変えたいときは、資産所在地の市区町村へ「共有代表者変更届」を提出し、翌年度の課税分から新代表者へ送付されます。4月発送分に間に合わせるには2月中旬までに提出します。

共有名義の納税通知書が1人にしか届かない仕組み

土地や家屋を2人以上で共有している固定資産は、地方税法第10条の2第1項の規定により、共有者全員が連帯して全額の納税義務を負う「連帯納税義務」となります。各自の持分割合に関係なく共有者全員が全額を納める義務があるため、市区町村は共有者の持分に応じて按分して課税することができません。

納税通知書の送付は1つの共有名義につき1通のみで、代表者宛てに送付されます。宛名は多くの自治体で「代表者氏名 外○名 様」と表記されます。例として習志野市では「習志野 太郎 外1名 様」のように表示されます。

市区町村が案内する代表者の決め方(例)
自治体代表者の選定基準(優先順)
習志野市1.法人 2.持分割合が多い者 3.市内居住者 4.世帯主 5.登記簿記載順
日立市1.全部事項証明書で一番上の方 2.法人 3.持分最多 4.世帯主 5.市内在住者など
神戸市原則は登記の記載順。同一区内で同じ所有者・持分の別物件で既に代表者がいる場合などはその代表者を優先

代表者の選定基準は自治体により異なり、過去の経緯や事前申出により上記と異なる場合もあります。指定がない場合は市区町村が上記の基準で自動的に決定します。

一時的送付先変更と共有代表者変更は別手続きです

固定資産税の送付先に関する届出は、目的により次の2種類に分かれます。混同すると翌年度に反映されないため、目的に合った届出を選びます。

送付先変更と代表者変更の違い
区分一時的送付先変更共有代表者変更
正式名称の例納税通知書送付先変更届共有代表者(指定・変更)届/共有資産代表者変更届出書
対象一人の所有者が一時的に別住所で受け取りたいとき共有名義の代表者を別の共有者に変えたいとき
効力届出後の一時的・臨時的送付(年度内から適用できる場合あり)翌年度の課税分から新代表者へ送付
期限の目安随時提出可4月発送分に間に合わせる場合は2月中旬まで
変更できる相手所有者本人の別住所(納税管理人とは別)共有構成員の中の別の共有者に限る
同意所有者本人の届出新旧代表者双方の署名または記名押印が必須

日野市は、一時的送付先変更と共有代表者変更を別項目で案内し、共有代表者の変更は「共有者全員の同意が必要で、翌年度課税から変更する」と明記しています。入院や長期不在などで一時的に別住所へ送ってほしいだけの場合は、共有代表者変更ではなく「送付先変更届」を使います。

共有代表者変更の手続き概要

手続きの概要(全国共通の原則と市区町村差)
項目内容
対象者土地・家屋を2名以上で共有している方全員(持分に関係なく全員が納税義務者)
手数料無料
期限翌年度課税から適用。4月発送分から新代表者へ送りたい場合は2月中旬までに提出(日立市・神戸市・多摩市などの案内)
提出先資産所在地の市区町村 資産税課(例:日立市役所 資産税課、多摩市役所 課税課、神戸市 市税事務所 固定資産税担当)
提出方法窓口または郵送。電子メールやファクスでは受付できません(多摩市の案内)
必要書類共有代表者変更届(新旧代表者の署名または記名押印)。共有資産を特定する所在地・地番・家屋番号などを記入
宛名の変更変更後は「新代表者名 外○名 様」で送付されます
口座振替代表者変更後も口座振替を使い続ける場合は別途口座振替の手続きが必要です(神戸市の案内)

手順1:誰に変更できるか確認する

共有代表者は共有構成員の中からのみ選べます。共有者以外の家族や代理人へ直接変更することはできません。誰を新代表者にするか、共有者間で事前に協議します。

確認するポイント

  • 新代表者は必ず共有者のうちの1人であること
  • 持分の多い少ないは変更の可否に関係しません(持分で按分はしないため)
  • 代表者が亡くなられた場合は相続手続きとあわせて代表者の変更が必要です

手順2:届出書を用意し新旧代表者が署名する

資産所在地の市区町村のホームページから「共有代表者変更届」または「代表者指定(変更)届出書」をダウンロードします。A4で印刷し、新代表者と旧代表者の双方が自署または記名押印します。

記入する主な項目は、共有資産の所在地・地番・家屋番号、旧代表者と新代表者の氏名・住所・持分、変更理由などです。自治体により様式が異なりますが、記入例も同時に公開されています。

手順3:資産所在地の市区町村へ提出する

窓口または郵送で資産税課へ提出します。郵送の場合は封筒に「共有代表者変更届在中」と明記するとスムーズです。受付後に自治体から内容確認の連絡が入る場合があります。

提出先の例(2026年8月30日確認)

  • 日立市役所 資産税課 〒317-8601 茨城県日立市助川町1-1-1(窓口・郵送)
  • 多摩市役所 課税課 〒206-8666 多摩市関戸6-12-1 24番窓口(窓口・郵送)
  • 神戸市 市税事務所 固定資産税担当 〒653-8762 長田区二葉町5-1-32 新長田合同庁舎4階、または共有資産のある区の市税の窓口

資産が複数の市区町村にまたがる場合は、それぞれの市区町村へ別々に届出が必要です。電子メールやファクスでの受付は行っていません。

手順4:翌年度の納税通知書で切り替わったか確認する

提出が受理されると、翌年度の固定資産税・都市計画税の課税から新代表者へ納税通知書と納付書が送付されます。当年度の途中で送付先が切り替わることはありません。

2月中旬の期限に間に合わなかったとき

2月中旬を過ぎてから提出した場合でも、届出自体は受理されます。ただし適用はさらに翌年度の課税分からとなり、当年の4月発送分は旧代表者へ届きます。当年中に新代表者へ届けてほしい場合は、一時的送付先変更を併用する方法を資産税課に相談しますが、共有代表者の変更としては翌年度扱いになります。

よくある質問

共有名義の固定資産税を按分して分けて納付できますか。

できません。地方税法第10条の2第1項の連帯納税義務により、持分割合に関係なく共有者全員が全額の納税義務を負います。市区町村は持分で按分して課税できず、納税通知書も1通のみ代表者へ送付します。納付は共有者間で協議のうえ行います。

共有者の1人にだけ納税通知書を送らないようにできますか。

代表者以外の共有者へ個別に納税通知書を送ることはできません。1つの共有名義につき1通のみ代表者へ送付されます。代表者を変更したい場合は、共有代表者変更届で別の共有者を新代表者に指定します。共有構成員以外へ変更することはできません。

口座振替を利用しています。代表者を変えたら手続きは必要ですか。

必要です。神戸市などは、代表者変更後も口座振替を希望する場合は別途口座振替の手続きが必要と案内しています。納税通知書の送付先変更とは別手続きのため、資産税課や市税事務所の口座振替の案内を確認してください。

まとめ:次に取るべき行動

共有名義の納税通知書の送付先を変えるには、持分で按分するのではなく、代表者を別の共有者に変更する届出が必要です。

次の順で手続きします

一時的別住所への送付を希望するだけなら「送付先変更届」を使い、代表者自体を変えたいときは「共有代表者変更届」を選びます。判断に迷った場合は、資産所在地の市区町村の資産税課へご確認ください。