高額介護サービス費の支給申請書が届かないときは、対象外や時期ずれ、住所・世帯情報の相違、施設の受領委任払いへの切替などが考えられます。対象と思われるのに届かない場合は、住所地の市区町村の高齢介護課・介護保険課へ問い合わせ、支払日の翌日または通知到着日の翌日から2年(相当事業費は5年)の時効内に申請します。
手続きの概要
高額介護サービス費は、1か月に支払った介護保険サービスの利用者負担(1割・2割・3割)の合計が、所得区分ごとの上限額を超えたとき、その超えた分が後から払い戻される制度です。西宮市や文京区、小田原市、大阪市など多くの市区町村では、支給対象となる可能性がある方に申請書を送付し、初回に申請すれば2回目以降は自動的に計算して指定口座へ振り込まれます。
| 所得区分 | 上限額(月額) |
|---|---|
| 課税所得690万円(年収約1,160万円)以上がいる世帯 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円以上690万円未満がいる世帯 | 93,000円(世帯) |
| 上記以外で市民税課税者がいる世帯 | 44,400円(世帯) |
| 世帯全員が市民税非課税 | 24,600円(世帯) |
| 市民税非課税で年金収入+合計所得が80.9万円以下(R8年8月から82万6,500円)または老齢福祉年金受給者・生活保護受給者 | 15,000円(個人)※世帯に複数の利用者がいる場合は24,600円(世帯) |
申請書は原則としてサービス利用月の約3か月後に送付されます(西宮市)。文京区では申請受理から1〜3か月後に振込があり、2回目以降は1月・4月・7月・10月にまとめて支給される運用です。一度振込先を登録すれば、以後の利用分は改めて申請する必要はありません。
支給申請書が届かない主な理由
届かないときに考えられる主な理由
- 月の利用者負担が上限額を超えていない(対象外)
- 支給限度基準額を超えて利用した分や居住費・食費・日常生活費など対象外費用を合算して誤認している
- サービス利用月からまだ3か月程度経っておらず送付時期前
- 住民票の住所と介護保険の登録情報が一致していない、世帯分離や転出入で保険者が変わった
- 施設入所中で受領委任払いが承認され、利用者への償還払い通知が届かない扱いになっている
- 口座変更や氏名変更の届出漏れで書類が返戻・差止めになっている
届かないときに確認すること
届かないときに順に確認する項目
どこに問い合わせるか・何を用意するか
対象と思われるのに申請書が届かない場合は、小田原市が案内するように「お手数ですが高齢介護課にお問い合わせください」。問い合わせ先は住所地の市区町村の介護保険担当です。
主な問い合わせ先の例
- 西宮市:高齢介護課(市役所本庁舎1階11番窓口)— 郵送は同封の返信用封筒または高齢介護課宛
- 文京区:介護保険課給付係 — 窓口持参または郵送、マイナポータル(ぴったりサービス)電子申請も可(マイナンバーカード必要)
- 小田原市:高齢介護課(市役所17番窓口、マロニエ・いずみ・こゆるぎの住民窓口、郵送可)
- 大阪市:お住まいの区の区役所 介護保険窓口 — 令和6年3月11日以降は行政オンラインシステム電子申請(本人申請のみ)も可
- 横浜市・その他の市区:区役所保険年金課など介護保険担当 — 電話番号は各区の公式サイトで確認します
問い合わせ時は、被保険者番号、氏名・生年月日、対象と思われる利用月、利用した事業所名を伝えると確認が早くなります。受理後に必要になる主な書類は次のとおりです。
申請に必要な主な書類
- 高額介護(介護予防)サービス費支給申請書(送付されたもの。紛失時は市区町村で再交付)
- 被保険者証(写しまたは提示)
- 振込先口座が分かる書類(通帳の表紙裏の写し等)— 口座振替申出書に記載した口座と一致させる
- 本人と口座名義人が異なる場合:委任状
- 成年後見人等が申請する場合:登記事項証明書等代理権確認書類
- 本人が亡くなられている場合:介護給付費等受領申立書(相続人確認書類を併せて求められる場合あり)
- マイナンバー(個人番号)確認書類の写し(郵送時)または提示(窓口時)— 未記入でも受理される場合がありますが、記載が求められることがあります
申請方法と提出先
申請方法は3通りあります
- 窓口:市区町村の高齢介護課・介護保険課窓口へ持参します。西宮市や小田原市のように住民窓口でも受け付ける場合があります。
- 郵送:申請書に記入・押印(見直し後は押印不要の場合あり)し、必要な添付書類の写しを同封して郵送します。西宮市は返信用封筒が同封されます。
- 電子申請:文京区や大阪市が案内するように、マイナポータル(ぴったりサービス)から電子申請できます。マイナンバーカードと電子証明書が必要です。行政オンラインシステムは本人申請のみが対象で、代理人申請は窓口・郵送になります。
一度申請して口座を登録すれば、次回からは対象月に自動で支給されます。小田原市が明記するように「手続きは初回のみ」で、2回目以降は申請不要です。口座を変更したときだけ口座振替変更申出書を提出します。
申請期限と時効(2年と5年)
高額介護サービス費を請求する権利は、文京区や西宮市、小田原市、横浜市が案内するように、原則として2年で時効消滅します。総合事業の相当事業費は5年です。
起算日は、文京区の説明では「介護サービス利用月の利用者負担額を支払った日の翌日(勧奨通知(支給申請書)を送付した場合は、通知が到着した日の翌日)」から2年です。西宮市も同様に「2年(相当事業費は5年)で時効消滅」と案内しています。
小田原市は分かりやすい例を示しています。令和8年3月にサービスを利用した場合は、令和10年3月31日までに申請書等を提出する必要があります。この期限を過ぎると、高額介護サービス費を受給できません。横浜市も「2年(総合事業分は5年)で時効となり、申請できなくなります」と注意を促しています。
受領委任払いとの違いに注意
施設に入所している方は、償還払い(いったん全額を負担して後から払い戻し)と受領委任払い(施設に対して上限額までを支払い、超過分は市区町村が施設へ直接支払い)のどちらになるかが分かれます。大阪市では、令和6年度以降の申請分から受領委任払いの承認期間に終期がなくなり、同一施設に入所中は更新が不要になりました。対象は大阪府内の介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院で、府外施設は対象外です。月途中の入退所や介護保険料の滞納で給付制限中の場合などは対象外になります。施設入所中は、申請書が届かないのではなく、はじめから受領委任払いで処理されていることがあります。施設の窓口でも確認します。
注意点・よくある失敗
申請前に避けたい失敗
- 対象外費用(支給限度基準額超過分、居住費・食費・日常生活費、福祉用具購入費・住宅改修費)を合算して上限超えと誤認する
- 世帯合算の上限を個人上限と混同する(個人15,000円は非課税等の一定条件の本人のみ。世帯で2名以上利用時は世帯上限で判定)
- 振込先口座の情報誤りや旧口座のままで振込不能になる(大阪市は口座情報確認のため通帳写しの提示を任意で依頼しています)
- 初回申請をしていないのに2回目以降は自動と思い込む
- 引っ越し後に旧市区町村と新市区町村のどちらへ問い合わせるか迷い、時効が近づく
- 相続人が申請する場合に受領申立書や戸籍等の添付漏れで差戻しになる
- 保険料を滞納して給付制限中だと受領委任払いが使えないことを知らない
よくある質問
高額介護サービス費と高額医療合算介護サービス費の違いは?
高額介護サービス費は介護保険の1か月の負担が上限を超えたときに介護保険単独で払い戻される制度です。高額医療合算介護サービス費は、医療保険と介護保険の1年間の自己負担を合算して上限を超えたときに支給される別の制度で、申請先や計算期間が異なります。医療合算の対象と思われる場合は、加入している医療保険者と市区町村の両方へ確認します。
通知が来ないまま2年が過ぎたらどうなりますか?
2年(相当事業費は5年)を過ぎると時効で請求権が消滅し、過ぎた月分は支給されません。小田原市の例のように、令和8年3月利用分は令和10年3月31日までが期限です。通知が届かない場合でも、対象と思われる月があれば支払翌日を起算点として期限が進むため、早めに高齢介護課へ相談し、支給対象かと申請書の再送可否を確認します。
送られてきた申請書を紛失したときは再発行できますか?
はい、市区町村で再交付できます。窓口または郵送で再交付を依頼し、被保険者証や本人確認書類、口座情報が分かる書類を用意します。口座名義が本人と異なる場合は委任状が必要です。西宮市や小田原市のように、郵送申請時はマイナンバー確認書類の写しを求められることがあります。初回申請後は2回目以降の申請書は送付されず自動支給になるため、届かないのが正常な場合もあります。
まとめと次の行動
高額介護サービス費の申請書が届かないときは、まず対象月の利用者負担が上限を超えているかと、送付時期(利用月の約3か月後)や対象外費用の有無を確認します。そのうえで対象と思われるのに届かない場合は、早めに住所地の市区町村の高齢介護課・介護保険課へ問い合わせます。2年(相当事業費は5年)の時効があるため、利用月の翌日または通知到着日の翌日を起算点として期限を意識し、初回は窓口・郵送・マイナポータルのいずれかで申請します。一度登録すれば次回からは自動支給になり、口座変更時だけ手続きが必要です。施設入所中の方は受領委任払いが適用されていないかも併せて確認します。