健康保険で別居の家族を被扶養者にするときは、原則として毎月、銀行振込などで日付・金額・送金人・受取人が分かる仕送りを行い、直近3か月分以上の通帳写しや振込明細で証明します。収入は年130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)かつ別居では被扶養者の収入が仕送り額未満である必要があり、手渡しは認められません。16歳未満・学生は仕送り証明が不要です。
仕送りが必要な人と不要・猶予されるケース
被扶養者の認定は「主として被保険者により生計を維持されていること」が要件です。別居か同居か、続柄や一時的な別居かで仕送りの要否が分かれます。日本年金機構(2026年7月13日更新)と各健康保険組合の案内で整理します。
仕送り要否の切り分け
- 配偶者(事実婚含む)、子・孫、兄弟姉妹、父母・祖父母など直系尊属:別居でも認定可能ですが、仕送りが必須です
- 上記以外の3親等内親族(伯叔父母・甥姪など):同居が要件のため、別居した時点で認定対象外となり抹消します
- 単身赴任・就学・里帰り出産・入院・福祉施設入所など一時的な別居、住民票上は同住所だが建屋が別・世帯分離の場合:組合により別居とみなすことがあり、確認が必要です
- 16歳未満の子、16歳以上の学生:仕送り証明の提出は不要です(在学証明書を求められる場合があります)
いくら仕送りすればよいか−金額の3つの基準
全国共通の収入要件に加え、別居では仕送り額そのものが審査対象になります。3つの基準を同時に満たす必要があります。
| 基準 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 収入要件 | 年間収入130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)。令和7年10月1日以降、19歳以上23歳未満は150万円未満に緩和。 | 日本年金機構 |
| 仕送り額要件 | 被扶養者の年間収入が仕送り年額未満。かつ月平均でも「被扶養者の月収 < 仕送り月額」を満たすこと。 | 日本年金機構・四電健保 |
| 生計費要件(組合健保) | 仕送り年額が別居家族の年収以上、かつ(仕送り+被扶養者年収)が標準生計費(人事院公表)を上回ること。例:年収70万円なら月約6万円以上。 | 四国電力健保 |
四国電力健保の例では、被保険者世帯1人あたりの生活費を上回る高額な仕送りは基準外とされます。月25万円の世帯2名で10万円を仕送りすると、(25万円−10万円)÷2=7.5万円<10万円となり認められません。
仕送り方法と頻度−手渡しは認められません
仕送りは「いつ・誰から誰へ・いくら」が第三者にも分かる方法で、継続して行うことが必須です。
認められる方法と保管
- 銀行振込:預金通帳の名義・日付・金額ページの写し、振込明細書、ネットバンキングの明細を保管します
- 現金書留:郵便局の控え(写し)を保管します
- 手渡し:証明できないため認められません。近くに住んでいても振込にしてください
- 頻度:別居となった月から毎月継続します。1か月でも途切れると、その月から遡って抹消されることがあります
- 保管期間:申請時は直近3か月分以上、SG健保のように1年~1年半分の提示を求められる組合もあります。廃棄せず保管してください
証明書類と提出のタイミング
被扶養者(異動)届に添付する書類は、続柄・収入・仕送りの3点です。仕送り証明は別居の場合のみ追加で必要です。
別居時の添付書類チェックリスト
被扶養者になった日が受付日より60日以上遡る場合は、扶養事実を確認できる追加書類が必要です。出生・婚姻・養子縁組が契機で双方に日本戸籍がありマイナンバーを記載している場合は省略できることがあります。
提出先と手続きの流れ−5日以内が原則
被保険者が事業主へ被扶養者(異動)届と添付書類を提出します。協会けんぽの場合は事業主が日本年金機構(事務センター/年金事務所)へ、組合健保の場合は各組合へ提出します。
年金機構または健保組合が審査します。収入・続柄・仕送りのいずれかが不足すると返戻されます。
認定されると被扶養者の資格確認書等が交付されます。認定日は原則として届出日ではなく扶養事実が発生した日です。
電子申請の場合は、届書をPDF・JPEGで添付できます。協会けんぽ以外の健保組合の被保険者の配偶者を被扶養者にする場合は、国民年金第3号被保険者関係届のみを年金機構へ提出します。
認定されなかった・遡って抹消されたときの対処
仕送り明細が提出できない、金額が不足、手渡しだったなどの理由で不認定または抹消された場合は、次の対応が必要です。
不認定・抹消後の対応
- 仕送りを毎月に是正し、3か月分以上の明細を揃えて再申請します。途切れた月から再認定となるため、空白期間は被扶養者として扱われません
- 抹消が遡及した場合、その期間に健保が負担した医療費の全額返納を求められることがあります(四電健保)
- 収入が仕送りを上回った、仕送り証明がない月がある場合は、速やかに被扶養者削除の届出をしてください。放置すると遡及期間が拡大します
- 年1回の検認で指摘されたときは、指定期日までに明細を提出します。提出できないと別居日まで遡及します
よくある質問
別居の仕送りは手渡しでもよいですか
手渡しは証明できないため認められません。銀行振込や現金書留など、日付・金額・送金人・受取人が第三者にも分かる方法で毎月送金し、通帳写しや振込明細、書留の控えを保管してください。近くに住んでいても手渡しは不可です。
学生の子どもは仕送り証明が不要と聞きましたか
日本年金機構の全国原則では16歳未満または16歳以上の学生は仕送り証明が不要です。ただし健康保険組合によっては在学証明書の提出を求め、在学証明書を仕送り確認の代わりとすることがあります。加入する健保組合の案内を確認してください。
仕送りはいくらにすればよいですか
全国原則では被扶養者の年収が仕送り年額未満、かつ月平均でも月収<仕送り月額である必要があります。組合健保ではさらに年収以上かつ標準生計費を上回ることが求められる場合があります。例えば年収70万円なら月6万円以上が目安ですが、被保険者世帯1人あたりの生活費を上回る金額は認められません。具体額は組合の基準を確認してください。
仕送り証明は何か月分必要ですか
日本年金機構の手続きでは直近の仕送り事実が分かる書類を添付します。四国電力健保では新規申請時に直近3か月分以上、SG健保では直近1年~1年半の保管を求め、検認時に随時提示を求められます。申請時は3か月分を目安に、以降も毎月の明細を継続保管してください。
相談先と次の手続き
手続き先は加入する健康保険の運営主体で異なります。協会けんぽは事業主を経由して年金事務所、組合健保は各組合が窓口です。仕送り基準や必要書類の細目は組合ごと に異なるため、必ず加入先の被扶養者認定案内で最新情報を確認してください。不明な点は事業主の人事労務担当または加入先の健康保険組合へご相談ください。