健康保険で被扶養者の年間収入が130万円以上(60歳以上または障害者は180万円以上)見込まれた場合、超えた月の翌月1日が削除日となり、事実発生日から5日以内に被扶養者(異動)届の提出が必要です。手続きが遅れて遡及削除になった場合は、その日以降の医療費や給付金を全額返還することになるため、早めの対応が大切です。

被扶養者の収入基準と130万円の壁を確認します

健康保険の被扶養者になるには「被保険者により主として生計を維持されていること」と「収入要件」を満たす必要があります。収入要件は年間見込み収入で判定し、過去1年間の実績ではありません。日本年金機構の全国共通の基準は次のとおりです。

年間収入の基準額(令和8年8月時点の公式情報)

  • 原則:年間収入130万円未満(月額108,333円以下、日額3,611円以下)
  • 60歳以上の方または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者の方:年間収入180万円未満(月額150,000円以下、日額5,000円以下)
  • 19歳以上23歳未満の方(被保険者の配偶者を除く):扶養認定日が令和7年10月1日以降は150万円未満に緩和(配偶者は対象外)
  • 別居の場合は「被保険者からの仕送り額未満」、同居の場合は「被保険者の年間収入の2分の1未満」も同時に満たす必要があります

いつから削除になるか:削除日の決まり方

削除日は「事実発生日」により決まります。味の素健康保険組合などの公式案内では、主な事由ごとの削除日が次のように整理されています。

被扶養者削除の主な事由と削除日
事由削除日補足
被扶養者の収入が認定基準額(130万円等)を超えたとき超えた月の翌月1日月給制は年間見込みで130万円超+直近3か月平均が108,334円以上でも対象。交通費含む
被扶養者が就職し別の健康保険に加入したとき就職先の資格取得日就職先で被保険者になった日が削除日
雇用保険の失業給付を受給するとき受給開始日日額3,612円以上(60歳以上は5,000円以上)が目安。3か月の受給期間でも年間ベースで判定
傷病手当金・出産手当金を受給するとき受給開始日日額3,612円を基準に判定
死亡したとき死亡日の翌日
離婚したとき離婚日
別居や生計維持関係がなくなったとき別居を始めた日・基準を満たさなくなった日該当日が削除日

2026年4月からの新判定ルール:労働契約内容での年間収入見込み

令和8年4月1日以降は、扶養認定を受ける方の収入が「給与収入のみ」である場合に限り、労働契約内容が分かる書類に記載された賃金から年間収入見込みを判定できる新取扱いが始まりました。日本年金機構の2026年5月1日更新の公式情報で案内されています。

従来は直近の収入実績や残業代を含めた見込みで判定していましたが、新ルールでは「労働条件通知書、雇用契約書、または労働条件が記載された事業主証明」に記載された所定賃金(諸手当・賞与含む)から年間収入を計算します。残業代で一時的に130万円を超えても、契約上の所定賃金が基準内であれば被扶養者として認定できる可能性があります。

新判定を使うための必要書類(両方が必要)

  • 労働契約内容が分かる書類:労働条件通知書、雇用契約書、または労働条件が記載されている事業主証明(任意様式)のいずれか
  • 扶養認定を受ける方本人による「給与収入のみである」旨の申立書(氏名入り)※被扶養者(異動)届の申立欄に同内容を記載した場合は添付不要

削除の手続き:5日以内の届出と提出先

被扶養者の異動があったときは、事業主を経由して「健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届と一体化)」を提出します。手続きの期限と提出先は加入制度で確認してください。

提出期限と提出先

  • 期限:事実発生日から5日以内(健康保険組合・協会けんぽ共通の原則。速やかに提出してください)
  • 協会けんぽ加入の場合:事業主経由で日本年金機構 事務センターまたは管轄年金事務所へ。電子申請・電子媒体・郵送・窓口が利用できます
  • 健康保険組合加入の場合:加入する健康保険組合へ(事業主経由)。組合ごとに様式や添付書類が異なるため組合の案内を確認してください
  • 被扶養者になった日が受付日より60日以上遡る場合は、扶養の事実を確認できる書類の追加提出が必要な場合があります

配偶者が被扶養者から外れ、厚生年金に加入しない場合は、国民年金第1号被保険者への種別変更も必要です。年金事務所または市区町村窓口で併せて手続きしてください。

必要書類チェックリスト

削除の事由に応じて次の書類を準備します。健康保険組合では追加書類を求められる場合があります。

収入超過の判定方法:年収見込みと3か月平均

協会けんぽや健康保険組合では、給与が月単位で支給される場合、1年間の予定収入と直近3か月の平均の両方で確認します。例えば7月からパートを始めて契約上は年収128万円でも、繁忙期で直近3か月の平均が108,334円(年130万円÷12)以上になった場合は削除対象となることがあります。有期契約でも年間ベースで判定します。

次の保険への切替:国民健康保険と国民年金

被扶養者から外れた後は、別の健康保険に加入するか、国民健康保険等へ切り替えます。切替が遅れると無保険期間が生じ、医療費が全額自己負担となるため、資格喪失日を起点に手続きしてください。

切替先と期限

  • 国民健康保険へ加入する場合:資格喪失日(削除日)の翌日から14日以内に住所地の市区町村 国保窓口で加入手続き。健康保険資格喪失証明書等が必要な場合があります
  • 別の健康保険の被扶養者になる場合:新しい被保険者の事業主経由で被扶養者(異動)届を提出
  • ご自身で健康保険任意継続を選ぶ場合:退職後20日以内(本記事の収入超過による削除とは別要件)の手続きが必要なため、該当する方は協会けんぽ等の案内を確認してください
  • 国民年金第3号から第1号への切替:配偶者が扶養から外れて厚生年金に加入しない場合、14日以内に市区町村または年金事務所で種別変更

よくある質問

残業で一時的に年収が130万円を超えそうな月がありました。すぐに削除になりますか?

一時的な残業代の増加でも、年間見込みが130万円以上または直近3か月平均が108,334円以上になれば削除対象となる場合があります。ただし令和8年4月以降で給与収入のみの方は、労働条件通知書等の所定賃金ベースで年間見込みが130万円未満であれば、新判定により被扶養者のまま認定できる可能性があります。契約書の記載と実際の勤務実態の両方で判断されるため、事業主に確認のうえ、早めに健康保険組合または年金事務所へ相談してください。

130万円を超えて削除された後に、働く時間を減らして収入が130万円未満に戻れば、すぐに再認定されますか?

収入が恒常的に基準額未満に戻り、他の要件も満たせば再認定の申請は可能です。ただし単に一時的にシフトを減らしただけでは認められない場合があります。直近の給与明細や課税証明書等で年間見込みが130万円未満であることを証明し、改めて被扶養者(異動)届を提出します。認定日は申請が受理された日以降となります。遡及しての再認定はできません。

削除の届出を2か月出し忘れていました。どうなりますか?

事実発生日に遡って削除され、その日以降に健康保険で受診した医療費や受けた給付金は全額返還の対象となります。健康保険組合から返還請求が届いた場合は指示に従い納付してください。国民健康保険への加入も資格喪失日に遡って行い、保険料も遡及して計算されます。速やかに事業主経由で被扶養者(異動)届を提出し、市区町村で国保の加入手続きも行ってください。

事業主の証明がなくても被扶養者の削除手続きはできますか?

収入要件確認では、原則として事業主の証明があれば課税証明書の添付を省略できる場合がありますが、証明が得られない場合でも給与明細の写しや課税(非課税)証明書で代替できます。労働契約ベースの新判定を使う場合は、労働条件通知書等の契約書類が必須です。いずれも健康保険組合や年金事務所が提出書類を案内しているため、不明な場合は加入先の保険者へお問い合わせください。

相談先

手続きに迷う場合や、遡及削除による返還額・国民健康保険の保険料を確認したい場合は、次の窓口へご相談ください。加入する健康保険により手続きが異なるため、まずは資格確認書に記載の保険者名を確認してください。

主な相談先

  • 協会けんぽ加入の方:事業主を経由して管轄の年金事務所、または協会けんぽ都道府県支部
  • 健康保険組合加入の方:加入する健康保険組合(味の素健康保険組合等の組合窓口)
  • 国民健康保険・国民年金への切替:住所地の市区町村 国保・年金担当窓口またはお近くの年金事務所
  • 一般的な制度相談:日本年金機構 ねんきんダイヤル 0570-05-1165(050-3355-0111)
日本年金機構「被扶養者にするとき・異動があったときの手続き」日本年金機構:従業員が家族を被扶養者にするとき・異動があったときの手続き(収入要件130万円・添付書類)日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者認定」日本年金機構:労働契約内容による年間収入での被扶養者認定の取扱い(令和8年4月1日以降)味の素健康保険組合「被扶養者削除手続き」味の素健康保険組合:被扶養者削除手続き(削除日が超えた月の翌月1日・5日以内の届出・遡及時の返還)

2026年8月29日時点の公式情報で確認しています。被扶養者の認定は個別の収入見込みや世帯の生計維持関係で判断が異なるため、最終的な削除日や必要書類は加入する健康保険者へご確認ください。当サイトの内容は参考情報です。具体的な手続きは管轄の保険者・年金事務所・市区町村の最新案内をご確認ください。