住民票の除票はコンビニ交付で取得できません。必要なときは最後の住所地の市区町村で、窓口または郵送で「除票の写し」を請求します。相続では被相続人の最後の住所を証明する書類として、相続人などの利害関係者も請求できます。手数料は1通300円程度、150年保存の対象は令和元年6月20日以降に消除されたものに限られ、それ以前に5年で廃棄された除票は復活しません。取得できないときは戸籍の附票や不在住証明書・上申書で代替できる場合があります。
住民票の除票とは何か|住民票・戸籍の附票との違い
転出や死亡で住民登録が抹消(消除)された住民票が「除票」です。元の住民票の記載(氏名、住所、生年月日、本籍、筆頭者、続柄)に加え、消除された日付と理由、転出の場合は転出先住所、死亡の場合は死亡年月日が記載されます。相続では「登記簿上の所有者と被相続人が同一人物か」をつなぐために使われます。
| 書類 | 管理する役所 | 記載内容のポイント |
|---|---|---|
| 住民票の除票 | 最後の住所地の市区町村 | 消除された住民票そのもの。最後の住所・消除日・理由を証明 |
| 戸籍の附票 | 本籍地の市区町村 | 戸籍とセットで管理される住所履歴。本籍地に基づく住所の移り変わり |
| 除附票(除かれた附票) | 本籍地の市区町村 | 戸籍自体が除籍になったときの附票 |
| 改製原附票 | 本籍地の市区町村 | 戸籍の様式変更(改製)前の古い附票。古い住所が残ることがある |
なぜコンビニで取れないのか
横浜市や世田谷区の公式案内では、コンビニ交付(マルチコピー機)の対象は「現存する住民票の写し・記載事項証明書」で、除票および住民票コード入りの住民票は取得できないと明記されています。システム上の制限で、除票は窓口と郵送に限られます。
保存期間が5年から150年に延長されたのに取れない理由
渋谷区の説明のとおり、住民基本台帳法施行令の一部改正で、令和元年6月20日から除票の保存期間は5年から150年に延長されました。ただし延長が適用されるのは「改正時点でまだ保存されていた記録」に限られます。
| 消除・改製された時期 | 保存期間の扱い | 現在の取得可否 |
|---|---|---|
| 令和元年6月20日以降に消除・改製 | 150年保存の対象 | 原則取得できます |
| 平成26年6月20日以降~令和元年6月19日までに消除 | 改正時にまだ5年未経過で廃棄前だったため150年へ移行 | 原則取得できます |
| 平成26年6月19日以前に消除 | 改正前に5年で廃棄済み | 復活せず取得できません |
世田谷区の例では平成25年4月1日以降に消除された除票を150年保存としています。自治体により運用開始日が異なるため、まず最後の住所地の市区町村へ「何年消除の除票が取得できるか」を確認します。
相続で除票が必要になる場面
相続手続きでは、被相続人の最後の住所を公的に示すために除票の写しが使われます。
相続で除票が必要な主な場面
- 不動産の相続登記(登記簿上の所有者と被相続人の同一性確認)
- 預貯金・証券口座の名義変更・解約
- 未支給年金や保険金の請求
- 固定資産税の納税義務者確認や名義変更に関する手続き
請求できる人と窓口・方法の違い
渋谷区と世田谷区の案内では、請求できる方と窓口が次のように分かれています。亡くなられた方の除票は、どなたが請求しても利害関係者(第三者)としての請求になります。
| 請求する方 | 主な必要書類 | 備考 |
|---|---|---|
| 本人(除票に記載された本人) | 住民票関係請求書、本人確認書類、手数料 | マイナンバー入りは本人窓口のみ、郵送不可の場合あり |
| 任意代理人(本人からの委任) | 請求書、委任状(本人自筆・署名の原本)、代理人の本人確認書類、手数料 | 同一世帯でも除票は委任状が必要(令和元年改正で個人単位化) |
| 法定代理人 | 請求書、法定代理人であることを示す書類(戸籍謄本等)、代理人の本人確認書類、手数料 | 未成年者等の法定代理の場合 |
| 利害関係者(相続人、債権者等) | 請求書、利害関係を示す書類(戸籍謄本、契約書写し等)、請求者の本人確認書類、手数料 | 被相続人の除票は相続人がこの区分。請求理由と関係の証明が必須 |
手順3ステップで取得する
消除された時期と最後の住所地を確認します。手元の戸籍や住民票、登記簿、死亡診断書などで最後の住所地(住民登録があった市区町村)と、転出または死亡による消除のおおまかな時期を特定します。時期が平成26年6月以前か以降かで、除票が残っているかの見通しが分かれます。
請求方法を選びます。急ぐ場合は窓口、遠方の場合は郵送が基本です。窓口は総合支所・出張所等の住民票担当で、土曜開庁の有無は自治体により異なります。郵送は市区町村の郵送請求ページから請求書を印刷し、定額小為替や返信用封筒を同封します。コンビニ交付は選べません。
必要書類を準備して請求します。請求書、本人確認書類、必要に応じて委任状や戸籍謄本等の利害関係書類、手数料を用意します。記載内容の選択(本籍・続柄・マイナンバーの要否)は請求書で指定します。手数料は窓口300円、郵送は別に郵送料がかかることがあります。
窓口と郵送の手続きと手数料の目安
| 自治体 | 窓口 | 郵送 | 手数料の目安 |
|---|---|---|---|
| 世田谷区 | 各総合支所くみん窓口・各出張所の10か所。コンビニ等は不可 | 住民票の写し等の郵送請求ページで受付 | 1通300円 |
| 横浜市 | 区役所戸籍課等の窓口。オンライン申請も一部対応 | 郵送請求ページで受付。除票・コード入りはコンビニ不可 | 1通250円(コンビニは250円、窓口・郵送は別) |
| 渋谷区 | 本庁舎3階・出張所・区民サービスセンター(取扱い要確認) | 郵送請求は1通200円。LINE・スマート申請は本人に限り手数料0円+郵送料 | 窓口1通300円、郵送1通200円 |
手数料や受付時間、請求書様式は市区町村により異なります。詳細は最後の住所地の市区町村の住民票除票ページで確認します。
代理人や相続人が請求するときのポイント
代理人・相続人請求でつまずきやすい点
- 委任状は本人が自筆で署名した原本が必要です。外国籍の方は在留カードの氏名をフルネームで記入します
- 令和元年改正で除票は個人単位になったため、同じ世帯だった家族でも除票の請求には委任状が必要です
- 利害関係者として請求する場合は、請求理由を具体的に記入し、戸籍謄本や契約書写しなどで関係を客観的に示します
- 不正取得には罰則(住民基本台帳法第46条で30万円以下の罰金)があります。プライバシー侵害など不当な請求は認められません
取得できないときの代替手段
保存期間経過で除票が廃棄されていると言われた場合でも、相続登記などを諦める必要はありません。自治体や法務局と相談しながら、次の代替手段を検討します。自治体・法務局の運用は事案や管轄により異なるため、個別事情は窓口へ確認します。
代替手段の考え方
- 戸籍の附票・除附票・改製原附票が他に残っていないか、本籍地と住所地の両方に確認します
- 廃棄済みの場合は「廃棄証明書」を発行してもらえることがあります。交付できない事実を示す書類として法務局への説明に使えます
- 不在住証明書・不在籍証明書を登記簿上の住所地の市区町村で取得し、住所のつながりを補強します
- 登記済権利証が手元にある場合は、法務省通達により同一性証明の追加書類(不在住・不在籍証明、上申書)を省略できる場合があります(通常の戸籍一式等は別途必要)
- 固定資産税の納税証明書等と、最後の住所の除票・附票、不在住・不在籍証明書の一致が確認できれば、上申書を省略できる場合があります(令和5年通達の3条件)
- 上記がそろわない場合は、不在住・不在籍証明書と相続人全員の上申書(実印+印鑑証明書付)で同一性を証明する方法があります
よくある質問
除票はコンビニで取得できますか?
取得できません。横浜市や世田谷区の公式案内のとおり、コンビニ交付の対象は現存する住民票の写し等に限られ、除票および住民票コード入りは対象外です。窓口または郵送で請求します。
150年保存なのになぜ取得できないと言われますか?
令和元年6月20日の改正で150年保存になりましたが、改正前に5年で既に廃棄された記録は復活しません。平成26年6月19日以前に消除された除票は、改正時に保存期間が満了していたため交付できないことが多くあります。
相続人でも委任状は必要ですか?
被相続人が亡くなられている場合の除票請求は、相続人であっても利害関係者(第三者)としての請求になります。委任状ではなく、相続人であることを示す戸籍謄本や、請求理由を示す書類で関係を証明します。任意代理人として本人(生存中)の除票を取る場合は委任状が必要です。
郵送と窓口のどちらが早いですか?
窓口は即日交付が基本で、郵送は往復の郵送日数と処理日数がかかります。急ぐときは窓口、遠方で来所できないときは郵送や、渋谷区のように本人がオンラインで請求できる自治体のサービスを利用します。いずれも除票はコンビニでは受け取れません。
まとめと次の行動
住民票の除票は「最後の住所地の市区町村で、窓口または郵送で取得する書類」です。まず消除された時期が平成26年6月以降か以前かを確認し、残っている見込みがあれば窓口か郵送で請求します。代理人や相続人は委任状や戸籍謄本等の関係書類を添え、手数料は300円程度を準備します。廃棄で取得できないときは、戸籍の附票の確認や廃棄証明書、不在住・不在籍証明書、登記済権利証や固定資産税の証明書の組み合わせ、上申書といった代替手段を、管轄の法務局と相談しながら進めます。