所得税等の延納は、確定申告で納める税額の2分の1以上を納期限までに納付し、確定申告書で届け出ると、残額を原則5月31日まで先送りできる制度です。別の申請書は不要ですが、延納期間には利子税がかかります。

所得税の延納の基本

所得税及び復興特別所得税の確定申告分について、延納の条件と期限を整理します。
確認項目内容
対象確定申告で納付する所得税及び復興特別所得税の第3期分
期限までに納める額納付すべき税額の2分の1以上
延納できる額納付すべき税額の2分の1以下。延納届出額は千円未満を切り捨てます。
残額の期限原則5月31日。5月31日が土日祝日の場合は翌営業日です。
手続き確定申告書第一表の「延納の届出」欄に、申告期限までに納付する金額と延納届出額を記入します。
費用延納期間に応じて利子税がかかります。割合は年ごとに確認します。

延納できる税金・できない税金

この記事で扱う延納の対象と、別制度になる税金を区別します。

  • 対象は、所得税及び復興特別所得税の確定申告分です。
  • 個人事業者の消費税及び地方消費税は、この所得税等の延納制度の対象ではありません。
  • 贈与税にも延納制度がありますが、所得税等とは条件・申請書・期間が異なります。
  • 相続税の延納・物納は別制度です。
  • 期限までに必要額を納められない事情がある場合は、延納とは別に納税の猶予を確認します。

所得税を延納する手順

確定申告書第一表の「第3期分の税額・納める税金」で、確定申告により納付する税額を確認します。これが延納額を計算する基準額です。

延納したい額を決めます。上限は第3期分の納める税金の2分の1で、延納届出額は千円未満を切り捨てます。上限より少ない額を延納することもできます。

確定申告書第一表の「申告期限までに納付する金額」に、納める税金から延納届出額を差し引いた額を記入します。「延納届出額」には延納する額を記入します。令和7年分の申告書では、それぞれ65欄・66欄です。

延納欄を含めた確定申告書を、e-Tax、郵送または税務署窓口で法定申告期限までに提出します。延納だけのために別の申請書を提出する必要はありません。

申告期限までに納付する金額を納期限までに納めます。振替納税を利用する場合は、指定された振替日に必要額が引き落とされるよう、口座残高を確認します。

延納した残額を、原則5月31日までに納付します。年分ごとの延納期限と納付方法を国税庁の案内で確認し、利子税を含む納付額を確認してください。

延納額の計算例

次の例は、延納できる上限額まで延納する場合です。
第3期分の納める税金延納できる上限額申告期限までに納付する金額
300,000円150,000円150,000円
301,500円150,000円(301,500円×0.5=150,750円の千円未満を切捨て)151,500円

延納・振替納税・納税猶予の違い

名称が似ていますが、目的と手続きは異なります。
制度・方法役割主な確認点
延納確定申告の納付税額の一部を原則5月31日まで延ばす制度税額の2分の1以上を期限までに納付し、確定申告書の延納欄で届け出ます。利子税がかかります。
振替納税指定口座から自動で引き落とす納付方法延納そのものではありません。新規利用には事前の振替依頼が必要で、延納と併用する場合も年分ごとの振替日・残高を確認します。
納税の猶予一時に納付できない事情がある場合に、申請と審査を経て納付を猶予する制度一定の要件があります。延納の最初の納付額や延納期限の残額も難しい場合は、所轄税務署の徴収担当へ早めに相談します。

延納でよくある間違い

確定申告書を提出する前に、次の点を確認します。

よくある質問

延納のために別の申請書は必要ですか?

所得税及び復興特別所得税の確定申告分では、別の延納申請書ではなく、確定申告書第一表の「申告期限までに納付する金額」と「延納届出額」を記入します。

所得税を全額延納できますか?

できません。納期限までに税額の2分の1以上を納める必要があります。全額を期限までに用意できない場合でも、まず半分以上の納付が延納の条件です。

e-Taxでも延納できますか?

できます。申告データで延納の届出額などを入力し、期限までに申告します。画面や入力順は更新されることがあるため、申告時の確定申告書等作成コーナーの案内に従ってください。

延納した残額も払えない場合はどうしますか?

延納期限を過ぎるまで放置せず、所轄税務署の徴収担当へ相談してください。一定の条件を満たす場合は納税の猶予が認められることがありますが、自動的に適用される制度ではありません。

公式情報と確認日

この記事は2026年7月29日時点で、国税庁の確定申告期Q&A、令和7年分確定申告の手引き「手順5 延納の届出」、納税に関する総合案内を確認しています。具体的な申告期限、延納期限、利子税率、申告書の欄番号は年分により変わるため、実際に申告する年分の国税庁案内をご確認ください。

次にすること

延納を使う場合は、次の順で準備します。

確定申告後の所得税の納付方法を確認する延納分を含む所得税の支払い方法は、金額上限、手数料、領収証書の違いを比較して選びます。確定申告書の提出先と所轄税務署を確認する郵送先や窓口となる所轄税務署が分からない場合は、納税地の決め方を確認します。所得税の予定納税の仕組みを確認する確定申告前に通知される予定納税は、確定申告分の延納とは別の前払い制度です。