旧姓併記は戸籍で旧姓が確認できれば申請できます。新規・切替・残存有効期間同一のいずれかで申請し、戸籍謄本と写真を用意します。ICチップとMRZには反映されないため航空券や査証の名義に注意します。
手続きの概要
日本の旅券は国際民間航空機関の文書に準拠し、旅券面の氏名は戸籍に記載されている氏名を記載することが原則です。ただし申請者の申出により、外務大臣または領事官が政府機関や地方公共団体発行の書類等で社会生活上通用している呼称を確認し、渡航の便宜のため特に必要と認める場合に戸籍の氏名に加えて併記できます。旧姓は「旧姓/Former surname」の括弧書きで戸籍上の氏名に続けて記載されます。令和3年4月1日から要件が緩和され、旧姓が確認できれば認められるようになりました。
対象者
次のいずれかに当てはまり、戸籍等で旧姓を確認できる方が対象です。
- 結婚や離婚、養子縁組等で氏名が変わり、変更前の姓を併記したい方
- 出生による旧姓や婚姻前の姓を仕事や研究、渡航先での本人確認に使いたい方
- 有効なパスポートをお持ちで、切替申請または残存有効期間同一旅券で併記を追加したい方
- 新たにパスポートを申請する際に最初から旧姓併記を希望する方
切替申請と残存有効期間同一旅券の選び方
| 区分 | 有効期間 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 切替申請 | 10年または5年の新しい旅券 | 年齢に応じた年数を選択 | 残存期間は切り捨てになります |
| 残存有効期間同一旅券 | 提示した旅券と同じ残存期間 | 18歳以上の方 | 残存期間を維持できます |
残存期間が長い方や費用を抑えたい方は残存有効期間同一旅券も検討します。新規申請の方は通常の新規申請で併記を申し出ます。旧姓併記の括弧書きの説明の付記を希望する場合も記載事項変更の対象です。
必要書類
旧姓併記を含む記載事項変更の基本書類を確認します。オンライン申請では戸籍電子証明書の連携により戸籍謄本が不要になる場合があります。
- 一般旅券発給申請書1通(切替用または残存有効期間同一用、新規の場合は新規用)
- 戸籍謄本1通(申請日前6か月以内に作成されたもの)
- パスポート用の写真1枚(申請日前6か月以内、無帽正面で規格を満たすもの)
- 有効なパスポート1点(切替・残存同一の場合、申請時に提示し受領時に再度持参)
- 住民票の写しは居所申請や住基ネット利用なしの方のみ(申請日前6か月以内、マイナンバー記載なしの原本)
旧姓の確認書類は、新たに併記を希望する場合や今までの併記を変更する場合に必ず確認されます。戸籍謄本で希望する旧姓が確認できないときは、次のいずれかが必要です。除籍謄本、除籍謄本から現在の氏が記載されている戸籍に至る全ての戸籍謄本等、併記を希望する旧姓が記載された住民票の写し、併記を希望する旧姓が記載されたマイナンバーカードです。代理提出の場合は代理人自身の本人確認書類も必要です。

申請から受領までの手順
手順1:申請方法を選びます。新規申請か、有効旅券がある場合は切替申請か残存有効期間同一かを決めます。旧姓併記のみを追加する場合も記載事項変更として扱います。
手順2:戸籍と旧姓確認書類を用意します。戸籍謄本は6か月以内のものを1通用意し、戸籍で旧姓が確認できない場合は除籍謄本や旧姓記載の住民票、マイナンバーカードのいずれかを追加します。申請書裏の旅券面の氏名表記欄に希望する綴りを記入します。
手順3:住民登録のある都道府県のパスポート申請窓口で申請します。オンライン申請に対応する窓口ではマイナポータル経由で手続きできます。写真や有効旅券を持参し、代理提出の場合は代理人の本人確認書類も用意します。
手順4:申請日から土日祝や年末年始を除いて最短9営業日目以降に、申請した窓口で本人が受領します。東京都の例では土日祝や振替休日、12月29日から1月3日を除いて申請日を含め最短9営業日です。受領は乳幼児も含めて本人に限られ、代理人では受け取れません。
注意点・よくある失敗
旧姓併記でつまずきやすい点を確認します。
- 戸籍謄本が6か月を過ぎていて受け付けられないため、提出前に作成日を確認します
- 公的年金用など旅券申請以外の目的で発行された戸籍謄本を持参して差し戻されるため、旅券申請用の戸籍謄本を用意します
- 戸籍の届出直後で新しい戸籍がまだできておらず、渡航に間に合わないため日数に余裕を持って準備します
- 写真が規格外で撮り直しになるため、6か月以内の無帽正面で背景や影のないものを用意します
- 同じ都道府県内の転籍や住所のみの変更、読み方が変わらない漢字変更は記載事項変更の対象外と知らずに申請するため、事前に対象を確認します
例外と適用範囲
全国共通の原則を東京都の窓口例で解説します。申請先や手数料の支払方法、受領日数は都道府県で異なる場合があります。住所は旅券の記載事項ではないため、住所変更のみでは記載事項変更の申請は不要です。本籍の都道府県名を変更した場合や、家庭裁判所の許可で氏名を変更した場合、国際結婚で配偶者の姓を別名として追記する場合も記載事項変更の対象です。別名併記や非ヘボン式表記は旧姓併記とは要件や疎明資料が異なるため、該当する方は窓口の案内で確認します。
戸籍謄本で旧姓が確認できない場合はどうしますか
新たに併記する場合や今までの併記を変更する場合は、旧姓が確認できる戸籍謄本が必ず必要です。戸籍謄本で確認できないときは、除籍謄本、除籍から現戸籍に至る全ての戸籍謄本等、旧姓記載の住民票の写し、旧姓記載のマイナンバーカードのいずれかが必要です。
旧姓併記があれば航空券や査証も旧姓で取れますか
できません。併記は旅券面の括弧書きのみで、ICチップとMRZには記録されません。査証や航空券は戸籍上の氏名で取得し、併記について説明を求められたときはリーフレットや英語版資料で説明します。
今のパスポートが有効な場合と新規の場合で手続きは違いますか
有効旅券をお持ちの方は切替申請または残存有効期間同一旅券のいずれかで申請します。残存有効期間同一は18歳以上の方が対象です。新規申請の方は新規申請時に併記を申し出ます。いずれも新しい旅券番号になり、受領は本人のみで申請した窓口でのみ可能です。