国民年金保険料の免除・納付猶予が却下された場合は、すぐに全額を納める以外に「再申請」と「審査請求」の2つの道が残されています。却下通知書に書かれた理由を審査対象年と配偶者・世帯主の所得基準、失業特例の添付漏れ、継続審査の対象外といった観点で確認し、該当する手続きを選んでください。
まず確認:却下通知書の見方
市役所・年金事務所から届くのは「国民年金保険料免除・納付猶予申請却下通知書」という圧着ハガキです。令和6年以降は「期間延長不承認」の表示で届く場合もあります。却下理由の欄に「保険料免除基準に該当しないため」や「申請意思が確認できないため」などが記載され、対象期間(例:令和7年7月〜令和8年6月)と区分(全額免除・4分の3免除など)が併記されています。審査の結果、どこか1区分でも該当しなければその区分は却下となります。
却下になる主な理由5つ
却下理由一覧
- 前年(または前々年)所得が承認基準を超えている。本人だけでなく配偶者・世帯主の所得も審査対象です
- 審査対象年の取り違え。申請日が1〜6月は前々年所得、7月〜翌年6月は前年所得で判定されます
- 失業等による特例免除を希望したが離職票の写し等の確認書類が添付されていない、または失業の事実が確認できない
- 申請書の免除等区分に○や×が混在し、どの区分を希望するか意思が不明確で補正に応じなかった
- 継続審査の対象外だった。一部免除(4分の3・半額・4分の1)や失業特例承認者は翌年度も毎年申請が必要です
所得で却下といわれたときの審査基準と審査対象年
日本年金機構の承認基準は前年所得で判定します。基準額を超えると却下になります。
| 区分 | 所得基準(前年所得) |
|---|---|
| 全額免除 | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円以下 |
| 4分の3免除 | 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等以下 |
| 半額免除 | 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等以下 |
| 4分の1免除 | 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等以下 |
| 納付猶予(50歳未満) | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円以下(本人・配偶者のみ審査) |
審査対象となる前年所得の関係は、申請可能期間と連動します。申請日が含まれる年度(7月〜翌年6月)に応じて「前年」か「前々年」かが決まります。例えば令和7年8月に申請する場合は令和6年分の所得、令和7年3月に申請する場合は令和5年分の所得で審査されます。市区役所で所得の申告ができていないと審査自体ができず、照会文書が届くことがあります。
失業特例で却下といわれたときのチェック
失業・倒産・事業の廃止などで前年所得にかかわらず審査される特例免除は、離職等の事実を確認できる書類が必要です。
失業特例の確認チェック
書類がない場合でも、失業の状態にあることの申立てを別途行うことで審査される場合があります。詳細は窓口で確認してください。
継続審査と新規申請の違い
毎年7月1日が年度切替です。継続審査は手続きを忘れても自動で審査される仕組みですが、対象は限られます。
| 前年度の承認区分 | 継続審査の可否 | 翌年度の手続き |
|---|---|---|
| 全額免除 | 希望すれば継続可 | 手続き不要(自動審査) |
| 納付猶予 | 希望すれば継続可 | 手続き不要。ただし全額免除への切替希望は別途審査 |
| 4分の3・半額・4分の1免除 | 継続不可 | 毎年7月以降に新規申請が必要 |
| 失業特例による承認 | 継続不可 | 毎年申請と離職確認書類の確認が必要 |
大分市の案内でも、全額免除と納付猶予のみが継続審査の対象で、失業特例は翌年7月以降に再度の申請が必要と明記されています。継続審査を希望したのに却下された場合、一部免除に該当する可能性があるときは、改めて一部免除の申請書として市町村の所得確認からやり直しになります。
却下後に選べる3つの道
納付する:猶予なく納付書で納め、10年以内なら追納で年金額を増やせます。未納のまま放置すると受給資格期間に算入されず、障害・遺族年金の要件にも影響します。
再申請する:所得の申告漏れを解消した、失業特例の書類を揃えた、一部免除区分で再審査したいなど、事情が変わった場合は再申請が可能です。申請時点から2年1か月前まで遡って申請できます。窓口は市区町村または年金事務所、マイナポータルから電子申請も可能です。
審査請求する:所得判定や手続きに誤りがあると考える場合は、社会保険審査官に審査請求ができます。却下通知書に同封の教示文に従い、処分があったことを知った日の翌日から原則3か月以内に請求書を提出します。審査請求中も納付義務は原則継続するため、併せて窓口に相談してください。
提出先と申請方法
提出先と方法
- 市区町村窓口:住民登録のある市(区)役所・町村役場の国民年金担当。所得確認を市町村長に求める同意が含まれます
- 年金事務所:管轄の年金事務所窓口または郵送。戸別訪問や社会保険事務所で受けた日が受付日になります
- マイナポータル:パソコン・スマホから電子申請。マイナンバーを記入した場合は本人確認書類の写しを添付します。申請書PDFとセルフチェックシートは日本年金機構のページから入手できます
申請時に前年所得の税申告が済んでいない家族がいる場合は、先に市(区)役所・町村役場の税務窓口で市県民税の申告を済ませてから提出してください。海外在住歴がある場合は申請書の特記事項欄に国名と転入日の記入が必要です。
審査請求の期限と注意点
審査請求は厚生労働省の社会保険審査官が審査します。厚生労働省の質疑応答では、補正に応じず意思不明のまま却下された場合の却下理由の記載例が「全額免除の保険料免除基準に該当しないため。また、4分の1納付等の申請意思が確認できないため。」と示されています。このような理由で却下されたときは、再申請時に区分の○印を明確にして補正することが先決です。不服があるときは教示どおりに請求し、却下通知書の写し、理由を反証する所得証明や離職票の写しを添えてください。
よくある質問
所得が基準以下なのに却下されました。配偶者や世帯主の所得が関係しますか?
はい。関係します。全額免除と一部免除は本人・配偶者・世帯主の3者の所得で判定し、納付猶予は本人・配偶者で判定します。ご自身の所得が基準内でも、配偶者や世帯主の所得が基準を超えていれば却下になります。通知の対象者欄と市区役所の所得証明を確認してください。
失業特例で再申請すれば必ず通りますか?
失業特例は前年所得にかかわらず審査されますが、離職等の事実が公的書類で確認できることが条件です。離職票の写しや受給資格者証の写しがないと通常の所得審査に戻り、却下が継続します。過去に同じ事由で書類を提出済みなら再添付は不要ですが、年度が替われば毎年申請が必要です。
却下通知が届いたらすぐに差し押さえになりますか?
すぐに差し押さえになることはありません。まずは納付書で納めるか、再申請や審査請求を検討してください。ただし、納期限を過ぎると督促状が届き、延滞金や財産調査の対象になる場合があります。払えないときは放置せず、市区町村または年金事務所に早めに相談してください。
まとめと次の手続き
次の手続きチェックリスト
却下は最終決定ではありません。所得判定の年度や審査対象者、書類の不足を1つずつ解消すれば再審査で承認される場合があります。迷うときは却下通知書を持参して、住民登録のある市区町村または管轄の年金事務所にご相談ください。
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