マイカー・自転車で通勤する方の通勤手当は、令和7年4月1日以後支払分から非課税限度額が引き上げられ、旧限度額を超えて課税されていた分は令和7年分年末調整で精算される場合があります。
マイカー・自転車などで通勤する給与所得者の方は、令和7年4月1日以後支払われるべき通勤手当について新しい非課税限度額で判定します。令和7年11月の施行前に旧限度額で課税されていた月がある場合は、勤務先の年末調整で差額が精算されることがあります。電車・バスのみの15万円の枠は変わりません。2026年9月15日時点の国税庁情報で確認しています。
改正の概要
令和7年11月19日に所得税法施行令の一部を改正する政令が公布され、11月20日に施行されました。通勤のため自動車などの交通用具を使用している給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が引き上げられ、令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について適用されます。同日前に支払われるべき通勤手当の差額として追加支給するものを除きます。改正前に旧限度額を超えて支払っていた場合は、令和7年分の年末調整で対応が必要となることがあります。全国共通の所得税の取扱いです。
対象となる方
対象者の確認
- 自動車・自転車などの交通用具で通勤し通勤手当を受ける給与所得者
- 令和7年4月から11月までに旧限度額を超えた分が給与として課税されていた方
- 令和7年分年末調整を受ける給与所得者と給与事務担当者
自動車や自転車などの交通用具で通勤し、勤務先から通勤手当を受けている給与所得者が対象です。役員や使用人を含み、パートやアルバイトの方も月を単位に判定します。電車やバスのみで通勤する方の合理的な運賃等の額の枠は今回変わりません。片道2キロメートル未満の自動車・自転車通勤は引き続き全額課税です。
令和7年4月以後の非課税限度額(月額)
令和7年4月1日以後適用のマイカー・自転車通勤の1か月当たり限度額です。通勤距離は片道の通勤経路に沿った長さで判定します。
| 片道の通勤距離 | 改正後(令和7年4月以後) | 改正前 |
|---|---|---|
| 55キロメートル以上 | 38,700円 | 31,600円 |
| 45キロメートル以上55キロメートル未満 | 32,300円 | 28,000円 |
| 35キロメートル以上45キロメートル未満 | 25,900円 | 24,400円 |
| 25キロメートル以上35キロメートル未満 | 19,700円 | 18,700円 |
| 15キロメートル以上25キロメートル未満 | 13,500円 | 12,900円 |
| 10キロメートル以上15キロメートル未満 | 7,300円 | 7,100円 |
| 2キロメートル以上10キロメートル未満 | 4,200円 | 4,200円(変更なし) |
| 2キロメートル未満 | 全額課税 | 全額課税(変更なし) |
限度額を超えた分の課税と源泉徴収
1か月の非課税限度額を超えて通勤手当を支給する場合、超える部分は給与として課税されます。超える部分は通勤手当を支給した月の給与額に上乗せして所得税などの源泉徴収を行います。給与明細で課税支給額が多い月がある場合、その月に旧限度額で判定されていた可能性があります。個別の金額計算は給与明細と勤務先の支給実績で確認します。
年末調整で遡及精算が必要な場合と不要な場合
年末調整での精算の要否
- 精算の対象になり得る:片道10キロメートル以上で旧限度額超の通勤手当を4月以後受け、超過分が課税されていた場合
- 精算が不要な場合:新限度額内で支給されていた場合、電車・バスのみで合理的な額が15万円以内の場合、片道2キロメートル未満で全額課税が正しい場合
- 勤務先の対応時期は各社の年末調整日程により異なります
令和7年4月以後支払分に新限度額が遡って適用されるため、4月から施行前の期間に旧限度額で課税されていた方は年末調整で差額が精算される場合があります。一方、初めから新限度額内で支給されていた方や、電車・バスのみで15万円枠内の方は今回の精算は不要です。勤務先が年末調整で対応するかが分からないときは、給与担当部署へ確認します。
手順1:通勤距離と支給方法を確認する
片道の通勤距離がどの区分に当たるか、自動車・自転車のみか、電車・バスや有料道路との併用かを確認します。引越しや異動で距離が変わった月がある場合は月ごとに分けます。通勤経路の長さの測り方が分からないときは勤務先の申請内容を確認します。
手順2:給与明細の課税部分を確認する
令和7年4月以後の給与明細で、通勤手当の支給額と課税対象額、非課税額の内訳を確認します。旧限度額で処理されていた月は超過分が課税支給に含まれています。明細の表示方法は勤務先により異なるため、不明な表示は給与担当部署へ確認します。
手順3:年末調整の対応を勤務先へ確認する
令和7年分年末調整で遡及精算が行われるか、従業員側で申告書などの追加提出が必要かを勤務先の指定日までに確認します。年末調整を受けない方で所得税の精算が必要な場合は、確定申告や還付申告の要否を所轄税務署の案内で確認します。
手順4:年明けに源泉徴収票で結果を確認する
年明けに交付される源泉徴収票で、支払金額と給与所得控除後の金額、源泉徴収税額が精算後の内容になっているかを確認します。金額に疑問があるときは給与担当部署へ確認し、必要な場合は税務署の相談窓口を利用します。
注意点:よくある誤解
通勤手当の非課税と年末調整の確認
電車・バス通勤の15万円の枠も上がりましたか
ありません。電車・バスのみの1か月15万円の枠は変更がなく、合理的な運賃等の額までが非課税です。超える部分は給与として課税されます。
通勤距離の境界に当たるときはどう判定しますか
片道の通勤経路に沿った長さで判定し、引越しや異動で変わった月は月ごとに判定します。2キロメートル未満は全額課税です。境界に当たる場合は勤務先の通勤届の内容と給与担当部署へ確認します。
4月から多く課税されていた分は追加で支給されますか
勤務先が令和7年分年末調整で遡って精算します。従業員が差額を追加支給として別途請求する手続きは通常ありません。勤務先の年末調整日程に遅れないよう確認します。
社会保険の手続きも変わりますか
所得税の年末調整で精算される場合でも、社会保険の届出や標準報酬の扱いは別制度です。算定基礎届や月額変更届の要否は日本年金機構の案内と勤務先の手続きで確認します。