歯列矯正は治療目的で必要と認められる場合は医療費控除の対象になります。発育段階にある子どもの不正咬合の矯正のように年齢や目的から必要と認められる場合は対象ですが、容ぼうを美化するためや将来の就職・結婚を考慮した矯正は対象外です。診断書の添付は必須ではありませんが、医療費控除の明細書の作成と領収書等の5年保存、所轄税務署への確定申告が必要です。
対象になる条件
国税庁の「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」では、歯列矯正は年齢や矯正の目的などからみて必要と認められる場合に限り対象になると説明しています。
歯列矯正の対象判定ポイント
- 子どもの不正咬合の矯正で、発育段階にある成長を阻害しないために行う治療は原則として対象です。
- 大人の矯正でも、かみ合わせの改善など治療目的で必要と認められる場合は対象になることがあります。
- 容ぼうを美化するためや容貌を変えるための矯正は対象外です。
- 将来の就職や結婚を考慮した見た目のための矯正は、一般的に美容目的と判断され対象外です。
| ケース | 医療費控除の判定 | 理由・備考 |
|---|---|---|
| 発育期の子どもの不正咬合の矯正 | 対象 | 成長阻害防止の治療目的で必要と認められる場合 |
| かみ合わせ不良の改善を目的とする大人の矯正 | 対象となる場合あり | 治療目的で必要と認められるかが判断基準 |
| 歯並びの見た目を整える美容目的の矯正 | 対象外 | 容ぼう美化のための費用と判断されるため |
| 就職・結婚を見据えた見た目の矯正 | 対象外 | 質疑応答事例で対象外と明記 |
| 金やポーセレンなど一般的な材料の治療 | 対象 | 一般的な水準を超えない部分は対象 |
診断書は必要か
国税庁の手続き案内では、医療費控除に診断書の添付は求められていません。必要なのは「医療費控除の明細書」の作成と確定申告書への添付、領収書等の5年保存です。
診断書と書類の整理ポイント
- 確定申告で診断書を添付する決まりはありません。治療目的の説明が必要になったときのために、治療計画書や見積書、歯科医の説明メモは保管しておくと安心です。
- 歯科ローンを利用した場合は、歯科医の領収書がないことがあるため、ローン契約書や信販会社の領収書を支出の証明として保存します。
- 医療費通知がある場合でも、矯正費用は領収書に基づいて明細書を作成します。
対象になる費用の範囲
対象になるのは矯正治療そのものの対価だけではありません。支払った年ごとに判定し、保険金等で補てんされる部分は差し引きます。
費用範囲の判定ポイント
- 矯正治療費の本体は、一般的な水準を著しく超えない部分が対象です。
- 治療のための通院費は対象です。小さい子どもの通院に付き添いが必要なときは、付き添い人の交通費も含まれる場合があります。自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。
- 治療中に年をまたぐときは、それぞれの年に支払った金額が各年分の対象です。分割払いは支払った年で計上します。
- 歯科ローンは、信販会社が立替払いをした年の対象です。金利や手数料相当分は対象外です。
- 生命保険や健康保険の高額療養費などで補てんされる金額は、対象の医療費から差し引きます。
医療費控除の手続きと必要書類
医療費控除は、1月1日から12月31日までに支払った医療費を、翌年の確定申告で申告します。給与所得者で年末調整だけの方は、医療費控除のために確定申告が必要です。
申告時に準備するもの
支払った矯正費用と通院費を年ごとに集計します。分割払いは実際に支払った年の金額、ローンは契約成立年の立替金額で整理し、保険金等の補てんがある場合は対象額から差し引きます。
医療費控除の明細書を作成し、確定申告書に添付して所轄税務署へ提出します。e-Tax、郵送、窓口のいずれも利用できます。
明細書の根拠となる領収書や契約書は、確定申告期限等から5年を経過する日まで保存し、税務署から求められた際に提示できるようにします。
よくある質問
大人の歯列矯正も対象になりますか。子どもとの違いはありますか。
治療目的で必要と認められるかどうかが基準です。かみ合わせの機能改善など治療の必要性がある場合は対象になることがあります。一方、見た目を整える美容目的や、就職・結婚を見据えた容貌のための矯正は対象外です。判断に迷うときは、治療前の歯科医の説明を記録した上で所轄税務署へご相談ください。
分割払いで年をまたいだ場合はどう申告しますか。
はい、年ごとに支払った金額で申告します。国税庁の案内では、治療中に年が変わるときはそれぞれの年に支払った金額が各年分の対象になると説明しています。3年に分けて支払った場合は、毎年の支払額で各年分の医療費控除を検討します。
歯科ローンやクレジットで支払った場合の扱いはどうなりますか。
信販会社が立替払いをした金額が、立替払いをした年(契約成立時)の対象です。歯科ローンの金利や手数料相当分は対象外です。歯科医の領収書がない場合は、ローン契約書や信販会社の領収書を支出の証明として保存してください。
まとめと次の行動
歯列矯正は「年齢や目的から必要と認められる治療か」が分かれ目です。子どもの成長阻害防止は原則対象、美容・就職目的は対象外、分割やローンは支払年で判定、明細書と5年保存が必須という流れで準備してください。該当しそうな場合は、領収書と契約書を年ごとに整理し、所轄税務署または国税局電話相談センターへ事前にご確認ください。