未支給年金は、年金を受けていた方が亡くなった月分までに発生した未受取の年金を、生計を同じくしていたご遺族が請求して受け取れる給付です。消滅時効は受給権者の年金支払日の翌月の初日から5年で、過ぎると請求権は消滅します。該当する場合は、順位を確認のうえ年金事務所へ速やかに請求します。2026年8月30日時点の日本年金機構の公式情報で整理しました。
未支給年金とは何が対象か
日本年金機構によると、未支給年金は次のいずれかに該当する年金です。相続財産ではなく、法律で定められた順位の遺族が受け取る一時的な給付であり、相続放棄をしていても請求できる場合があります。
未支給年金の対象
- 亡くなった月分までの年金で、まだ受け取っていない分
- 亡くなった日より後に振り込みされた年金のうち、亡くなった月分までの分
- 老齢年金・障害年金・遺族年金など、受給中だった年金の未払い分
遺族年金そのものとは異なります。未支給年金は亡くなった方に支払われるはずだった分を遺族が代わりに受け取るもので、遺族年金の受給権があるかどうかは別に判断されます。
誰が請求できるか 生計同一の順位
未支給年金を受け取れるのは、亡くなった当時その方と生計を同じくしていた遺族に限られ、次の順位で先順位の方が優先されます。
請求順位
- 1位:配偶者
- 2位:子
- 3位:父母
- 4位:孫
- 5位:祖父母
- 6位:兄弟姉妹
- 7位:(1)〜(6)以外の3親等内の親族
先順位者が1名でもいる場合は、後順位の方は請求できません。同順位者が2名以上いる場合は、そのうち1名が代表して請求します。JR・JT・NTT・農林共済が支給する共済年金を受け取っていた場合は、法定相続人が請求者となります。
生計を同じくしていたとは
生計同一は、必ずしも住民票の同一世帯や同居を意味しません。同一生計であった事実があれば、別住所・別世帯でも認められることがあります。
生計同一の判断と証明
- 同住所・同一世帯:亡くなった方の住民票の除票と請求者の世帯全員の住民票の写しで確認
- 別住所・別世帯:上記に加えて「生計同一関係に関する申立書」(様式3または様式4)の提出が必要
- 別居でも定期的な仕送り、訪問、療養看護の事実があれば生計同一と認められる場合がある
- 事実婚の配偶者:様式7の申立書に加え、第三者による証明など事実婚関係を証明する書類が必要
請求期限は5年 起算日は年金支払日の翌月初日
未支給年金の請求権は、支分権として5年の消滅時効にかかります。日本年金機構の「年金の時効」の表では、未支給年金は次のとおり整理されています。
| 給付の種類 | 時効期間 | 起算日 |
|---|---|---|
| 未支給年金 | 5年 | 受給権者の年金の支払日の翌月の初日 |
| 老齢年金・障害年金・遺族年金(支分権) | 5年 | 年金の支払日の翌月の初日 |
| 死亡一時金 | 2年 | 死亡日の翌日 |
平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金については、5年を過ぎても自動的に消滅せず、国が個別に時効を援用することで消滅します。ただし、年金記録の訂正による裁定や事務処理誤りと認定された場合は、国は時効を援用しない取扱いです。やむを得ない事情で時効完成前に請求できなかった場合は、書面で申し立てることで援用されない場合があります。実務上は、5年を過ぎる前に必ず請求してください。
必要書類
年金を受けている方が亡くなったときの未支給年金請求に必要な主な書類は次のとおりです。マイナンバーを記入することで、一部書類の添付を省略できます。戸籍謄本・住民票は、亡くなった日より後に交付されたものが必要です。
主な提出書類と添付書類
- 年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書(両面印刷で1〜2ページ目を提出)
- 亡くなった方の年金証書
- 請求者のマイナンバー確認書類(マイナンバーカード、または個人番号確認書類+身元確認書類)
- 亡くなった方と請求者の続柄が確認できる書類(戸籍謄(抄)本または法定相続情報一覧図の写し)※配偶者・遺族年金を請求する子はマイナンバー記入で省略可
- 生計同一がわかる書類(亡くなった方の住民票の除票、請求者の世帯全員の住民票の写し)※マイナンバー記入で住民票の写しは省略可、別住所なら申立書を追加
- 受け取りを希望する金融機関の口座確認書類(通帳等の写し)※公金受取口座登録または金融機関証明があれば省略可。インターネット専業銀行は一部利用不可のため要確認
亡くなった方の住民票の除票は、日本年金機構に個人番号が収録されている場合や、請求者の世帯全員の住民票に含まれている場合は提出不要です。事実婚の方は、戸籍謄本や事実婚を証明する書類が追加で必要です。
提出先と提出方法
提出先と方法
- 提出先の原則:年金事務所へ郵送
- 窓口:予約のうえ、年金事務所または街角の年金相談センター(オフィス)で対面相談も可能
- 電子申請:e-Govの「手続検索」で「電子申請用送付書(一時金請求及び諸変更届等)」を検索し、「年金受給権者死亡届(報告書)兼未支給年金・未支払給付金請求書」を選択。PDFまたはJPEGの請求書を電子添付する
- 地方公務員共済組合員期間のみの年金(単一共済者)などで共済組合から基礎年金の代行払いを受けていた場合は、加入していた地方公務員共済組合が提出先
請求の手順
請求できる順位と生計同一を確認する
戸籍・住民票・口座確認書類・申立書(必要な場合)を集める
年金受給権者死亡届兼未支給年金請求書(514.pdf)を記入する。記入方法は日本年金機構の動画「未支給年金・未支払給付金請求書の記載方法について」が参考になります。
年金事務所へ郵送または窓口・電子申請で提出する。提出が遅れると過払いとなり返還を求められることがあります。
支給決定後、指定口座へ振り込まれる。受け取った年は一時所得に該当し、一時所得の合計が50万円以下なら確定申告は不要、超える場合は最寄りの税務署へ相談する。
注意点
手続き上の注意
- 提出が遅れると、亡くなった方の口座へ年金が振り込まれ続け、後で返還が必要になることがあるため速やかに提出する
- 亡くなった方の口座は、未支給年金の振込先としない。未支給年金が入金される前に解約すると手続きが複雑になるため、金融機関と年金事務所に相談する
- 添付した住民票等の原本返却を希望する場合は、「添付書類の返却を希望するとき」の手続きを確認する
- 未支給年金を受け取った方の一時所得として課税される場合がある。詳細は国税庁または税務署に確認する
- 遺族基礎年金・遺族厚生年金・寡婦年金・死亡一時金の該当有無も同時に確認する
よくある質問
別居していても請求できますか
はい、別居でも生計を同じくしていた事実があれば請求できます。別住所の場合は「生計同一関係に関する申立書」に加え、仕送りの振込記録や訪問の事実などを具体的に記載します。単身赴任や施設入所で別居していても、生活費の負担や療養看護があれば認められることがあります。
同じ順位の遺族が複数いる場合はどうなりますか
同順位者が2名以上いる場合は、そのうち1名が代表して請求します。先順位者がいる場合は、後順位の方は請求できません。誰が代表するかはご家族で調整し、代表者1名の口座へ振り込まれます。
5年を過ぎたら請求できませんか
原則として、年金支払日の翌月の初日から5年を過ぎると時効により請求権は消滅し、受け取れません。やむを得ない事情がある場合は書面で申し立てることで援用されない取扱いもありますが、認められる範囲は限定的です。平成19年7月7日以降は国が時効を援用しない場合もありますが、期限内に必ず請求してください。
インターネット専業銀行の口座でも受け取れますか
一部のインターネット専業銀行は年金受取口座として指定できません。希望する金融機関が対象かどうかは、日本年金機構の「インターネット専業銀行で年金の受け取りはできますか」のQ&Aで事前に確認してください。公金受取口座を登録している場合や請求書に金融機関の証明を受けた場合は、通帳等の写しの添付を省略できます。
公式情報と相談先
手続きの詳細や最新の様式は、必ず日本年金機構の公式ページで確認してください。不明な点は、ねんきんダイヤルまたは年金事務所へお問い合わせください。税務上の取扱いは国税庁の案内または最寄りの税務署にご相談ください。
当サイトの内容は参考情報です。具体的な手続き・条件は、管轄する年金事務所、街角の年金相談センター、共済組合などの最新案内をご確認ください。