原則として、労働者を1人でも雇う事業主は、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に「労働保険 保険関係成立届」を提出します。提出先は、一元適用事業か二元適用事業かで異なります。

保険関係成立届の手続き概要

保険関係成立届の対象、期限、提出先、次の手続きを整理します。
確認項目内容
提出者労働保険の保険関係が成立した事業の事業主
提出期限保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内
一元適用事業の提出先事業所所在地を管轄する労働基準監督署
二元適用事業の提出先雇用保険分は管轄ハローワーク、労災保険分は管轄労働基準監督署
提出方法e-Govによる電子申請、提出先の窓口
保険料の次の期限概算保険料申告書の申告・納付は成立日の翌日から起算して50日以内
雇用保険の次の届書対象者がいる場合は、雇用保険適用事業所設置届と被保険者資格取得届を管轄ハローワークへ提出
出典:厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き【第1編】適用事業所編【令和7年8月版】」(確認日:2026年7月28日)厚生労働省・2026-07-28確認

保険関係成立届が必要になる事業主

厚生労働省は、事業主が労働者を1人でも雇っていれば、原則として労働保険に加入し、労働保険料を納付する必要があると案内しています。正社員だけでなく、パートやアルバイトでも労働者に当たれば労災保険の対象になります。雇用保険は、週の所定労働時間や雇用見込みなどの加入要件を別に確認します。

成立届を作る前に、次の適用判断を確認します。

  • 初めて労働者を雇い、労働保険の保険関係が成立する事業か
  • 法人役員や個人事業主本人など、原則として労働者に当たらない立場ではないか
  • 同居の親族など、労働者性を個別に確認する必要がある人ではないか
  • 個人経営の農林水産業で常時5人未満など、暫定任意適用事業に当たらないか
  • 支店・営業所・工場を独立した事業として手続きする必要があるか
出典:厚生労働省「労働保険の適用・徴収」(確認日:2026年7月28日)厚生労働省・2026-07-28確認

一元適用事業と二元適用事業の違い

事業区分により、労災保険と雇用保険をまとめるか、別々に手続きするかが異なります。
区分主な事業成立届の提出先
一元適用事業二元適用事業以外の一般的な事業労災保険と雇用保険を一つの保険関係として扱い、原則として事業所所在地を管轄する労働基準監督署へ提出します。
二元適用事業都道府県・市町村等の事業、農林水産業、建設業、一定の港湾運送事業雇用保険分は管轄ハローワーク、労災保険分は管轄労働基準監督署へ別々に提出します。

作成前にそろえる情報と確認書類

保険関係成立届を作成する前に、次の情報と書類を確認します。追加の確認書類は提出先により異なります。

  • 事業所の正式名称、所在地、電話番号
  • 法人番号。個人事業主の場合は届書の案内に従って記入
  • 事業の種類と具体的な事業内容
  • 実際に事業を開始し、保険関係が成立した年月日
  • 労働者数と、そのうち雇用保険の被保険者となる人数
  • 法人登記、賃貸借契約、事業許可、労働者名簿、賃金台帳など、提出先から案内された確認書類
  • 電子申請を利用する場合のe-Govアカウント、電子証明書などの認証手段

保険関係成立届の主な記入ポイント

厚生労働省の記入例で特に確認したい欄を整理します。現行様式の欄番号と注意書きを提出時に再確認してください。
欄・項目記入内容注意点
労働保険番号記入しません届書を提出する労働基準監督署またはハローワークが記入します。
事業所の名称・所在地実際に事業を営んでいる事業所の名称と所在地個人事業は屋号に加えて事業主氏名を記入します。カナ欄と漢字欄の入力規則を確認してください。
保険関係成立年月日実際に保険関係が成立した年月日記入例では、届書内の成立年月日を対応する欄へ転記します。
雇用保険被保険者数一般・短期と日雇の合計人数雇用保険の加入要件を満たす人を確認し、単なる従業員総数と混同しないようにします。
事業の種類実際の事業内容や作業内容抽象的な業種名だけでなく、保険率の判定に必要な具体的な内容を記入します。

保険関係成立届を提出する手順

雇う人が労働者に当たるか、労災保険・雇用保険の対象になるか、保険関係が成立した日を確認します。判断が難しい場合は管轄労働基準監督署またはハローワークへ確認します。

事業が一元適用事業か二元適用事業かを確認します。建設業、農林水産業、一定の港湾運送事業などは二元適用事業として別々の手続きが必要です。

事業所情報、事業内容、成立年月日、労働者数、雇用保険被保険者数を整理し、提出先から案内された確認書類をそろえます。

厚生労働省の現行様式と記入例を確認し、労働保険 保険関係成立届を作成します。労働保険番号は自己判断で記入しません。

保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に、事業区分に応じた労働基準監督署またはハローワークへ提出します。電子申請の場合も提出先の選択と申請後の公文書を確認します。

受理された成立届の事業主控と付与された労働保険番号を保管し、成立日の翌日から起算して50日以内に概算保険料申告書を申告・納付します。

雇用保険の対象者がいる場合は、成立届の事業主控を準備し、雇用保険適用事業所設置届と対象者の雇用保険被保険者資格取得届を管轄ハローワークへ提出します。

出典:厚生労働省「事業主の行う雇用保険の手続き」(確認日:2026年7月28日)厚生労働省・2026-07-28確認

e-Gov電子申請と窓口提出の違い

事業所の準備状況に応じて提出方法を選びます。
提出方法主な流れ確認点
e-Gov電子申請e-Govで対象手続きを検索し、申請情報と添付ファイルを入力して提出します。利用するアカウント、手続きごとの認証要件、提出先、添付ファイル、申請状況、返戻、公文書の保存を確認します。
窓口提出現行の紙様式と確認書類を、事業区分に応じた労働基準監督署またはハローワークへ提出します。管轄、受付時間、必要書類、控えの受取方法を事前に確認します。
出典:厚生労働省「労働保険関係手続の電子申請について」(確認日:2026年7月28日)厚生労働省・2026-07-28確認

提出前に確認したい間違いやすい点

期限超過や後続手続きの漏れを防ぐための確認項目です。

  • 保険関係が成立した日を会社設立日だけで決めていない
  • 一元適用事業・二元適用事業の区分を確認した
  • 二元適用事業で雇用保険分と労災保険分を分けた
  • 労働保険番号を自己判断で記入していない
  • 実際の事業所所在地と事業内容を記入した
  • 雇用保険被保険者数を従業員総数と混同していない
  • 10日以内の成立届と50日以内の概算保険料申告を別々に管理した
  • 雇用保険適用事業所設置届と被保険者資格取得届の後続手続きを確認した
  • 受理された事業主控と労働保険番号を保管した

提出期限を過ぎた場合

10日を過ぎても成立手続きが不要になるわけではありません。実際の保険関係成立日、雇入れ日、事業開始を確認できる資料、労働者名簿、賃金台帳などを整理し、管轄労働基準監督署またはハローワークへ速やかに相談してください。日付を変更せず、事実に基づいて手続きします。概算保険料の申告・納付状況も併せて確認してください。

よくある質問

社長1人だけの会社でも保険関係成立届が必要ですか?

法人役員は原則として労働者に当たらないため、役員だけで労働者を雇っていない場合は、一般的な「労働者を1人でも雇う」ケースと扱いが異なります。兼務役員など個別判断が必要な場合は、勤務実態と賃金の資料を整理して管轄労働基準監督署へ確認してください。

保険関係成立届と概算保険料申告書は同じ期限ですか?

同じではありません。保険関係成立届は成立日の翌日から起算して10日以内、概算保険料申告書の申告・納付は成立日の翌日から起算して50日以内です。成立届の提出後、付与された労働保険番号を使って概算保険料を申告します。

保険関係成立届を出せば雇用保険の手続きも完了しますか?

完了しません。雇用保険の対象者を初めて雇う場合は、成立届の手続き後に、雇用保険適用事業所設置届と対象者の雇用保険被保険者資格取得届を管轄ハローワークへ提出します。

公式情報と確認日

この記事は、2026年7月28日時点の厚生労働省公式ページと、同日時点で公式掲載されている「雇用保険事務手続きの手引き【第1編】適用事業所編【令和7年8月版】」で確認しています。提出時は、現行様式、事業区分、管轄、必要書類を公式窓口で再確認してください。

次にすること

まず、最初に労働者を雇った日と事業内容を整理し、一元適用事業か二元適用事業かを確認してください。次に、管轄窓口と確認書類を確定し、保険関係成立届を10日以内に提出します。受理後は、概算保険料の50日期限と雇用保険の事業所・被保険者手続きを続けます。

成立届の後に行う雇用保険適用事業所設置届を確認する雇用保険適用事業所設置届の書き方|10日以内・必要書類・e-Gov雇用保険の対象者ごとに提出する資格取得届を確認する雇用保険被保険者資格取得届の書き方|翌月10日・添付書類・e-Gov健康保険・厚生年金保険の事業所新規適用手続きを確認する社会保険の新規適用届の書き方|5日以内・必要書類・提出方法