雇用保険の加入要件を満たす従業員を採用したら、事業主は「雇用保険被保険者資格取得届」を、被保険者となった日の属する月の翌月10日までに管轄ハローワークへ提出します。通常は添付書類不要で、e-Govからも申請できます。

雇用保険被保険者資格取得届の手続き概要

雇用保険の対象となる従業員を採用したときの提出者、期限、提出先、添付書類を整理します。
確認項目内容
提出者事業主
主な対象原則として、週の所定労働時間が20時間以上で、同一事業主に31日以上雇用される見込みがある労働者
提出期限被保険者となった日の属する月の翌月10日まで
提出先事業所所在地を管轄するハローワーク
提出方法e-Govによる電子申請、窓口、やむを得ない場合の郵送
添付書類通常の期限内届出は原則不要。初回届出、期限後の届出、雇用関係の確認が必要なケースなどでは追加書類が必要
提出後ハローワークから交付された雇用保険被保険者証と資格取得等確認通知書(被保険者通知用)を従業員本人へ渡す
出典:厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」(確認日:2026年7月28日)厚生労働省・2026-07-28確認

資格取得届が必要になる従業員

適用事業に雇用される労働者は、正社員・契約社員・パート・アルバイトなどの呼び方や、本人の加入希望の有無にかかわらず、原則として雇用保険の対象です。通常は次の2要件を確認します。

一般的な雇用保険の加入要件です。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれること

31日以上の雇用見込みには、期間の定めがない契約、31日以上の有期契約、31日未満でも更新規定や過去の更新実績から31日以上の雇用が見込まれる場合などが含まれます。採用時には見込みがなくても、契約延長などで31日以上の見込みが生じた場合は、その事実が発生した日から対象になります。

作成前に確認する情報

資格取得届の作成前に、従業員と雇用条件について次の情報を確認します。

  • マイナンバー
  • 過去に雇用保険へ加入したことがある場合の雇用保険被保険者番号
  • 氏名、フリガナ、性別、生年月日
  • 資格取得年月日となる雇用関係の開始日
  • 採用時に定めた毎月の賃金額と支払形態
  • 雇用形態、職種、就職経路
  • 1週間の所定労働時間
  • 有期契約の場合の契約期間と更新条項
  • 外国人労働者の場合のローマ字氏名、国籍・地域、在留資格、在留期間、資格外活動許可など

資格取得届の主な欄の書き方

厚生労働省の手引きに沿って、資格取得届で特に確認したい欄を整理します。
記入内容注意点
個人番号従業員のマイナンバー事業主が番号確認と身元確認を行い、適切に取り扱います。
被保険者番号過去の雇用保険被保険者証に記載された番号過去に加入歴がなく番号が付与されていない場合は記入しません。番号が不明な場合は、本人の被保険者証を確認し、必要に応じて管轄ハローワークへ確認します。
取得区分新規または再取得過去の加入歴を確認して選びます。
被保険者氏名氏名とカタカナのフリガナ再取得では被保険者証の氏名と現在の氏名が異なる場合の変更欄も確認します。
資格取得年月日原則として雇用関係に入った最初の日試用・研修期間、契約開始日が休日の場合も、実際の契約上の開始日を確認します。
賃金採用時に定めた毎月決まって支払われる賃金の月額支払総額を千円単位で記入し、千円未満は四捨五入します。
雇用形態・職種派遣、パートタイム、有期契約などの区分と職種番号名称だけで判断せず、契約と勤務実態に合わせます。
1週間の所定労働時間契約上の通常の週に勤務する時間20時間以上かどうかの加入判定と一致させます。
契約期間有期・無期、契約期間、更新条項の有無31日以上の雇用見込みの判断資料と整合させます。
外国人雇用欄ローマ字氏名、国籍・地域、在留資格、在留期間など対象者では、資格取得届の該当欄により外国人雇用状況の雇入れ届出を兼ねます。
出典:厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き【第2編】被保険者資格の取得・喪失編【令和7年8月版】」(確認日:2026年7月28日)厚生労働省・2026-07-28確認

資格取得届を提出する手順

雇用契約書や労働条件通知書を確認し、週の所定労働時間、31日以上の雇用見込み、昼間学生などの適用除外を判定します。判断が難しい場合は、提出前に事業所所在地を管轄するハローワークへ確認します。

従業員からマイナンバー、過去の雇用保険被保険者番号、氏名、生年月日などを確認します。個人番号は事業所の安全管理手順に従って取り扱います。

厚生労働省・ハローワークの現行様式を使い、資格取得年月日、賃金、雇用形態、職種、週所定労働時間、契約期間などを記入します。

添付書類が必要なケースに当たるか確認します。通常の期限内届出は原則不要ですが、初回届出、期限後の届出、兼務役員などでは雇用関係を示す書類を準備します。

e-Gov、ハローワーク窓口、やむを得ない場合の郵送のいずれかで、被保険者となった日の属する月の翌月10日までに提出します。e-Govでは管轄のハローワークを提出先に指定します。

審査後に交付される雇用保険被保険者証と雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用)を従業員本人へ渡し、氏名、被保険者番号、資格取得年月日を確認してもらいます。

添付書類は原則不要|必要になるケース

通常どおり期限内に提出する資格取得届は、原則として添付書類不要です。ただし、次のケースでは、雇用した事実と年月日、契約内容などを確認する書類が必要です。ハローワークが個別に追加資料を求める場合もあります。

追加書類を準備する主なケースです。

  • 事業主として初めて雇用保険被保険者資格取得届を提出する場合
  • 翌月10日の提出期限を過ぎた場合
  • 過去3年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合
  • 労働保険料を滞納している場合
  • 届出内容に著しい不整合がある場合
  • 雇用保険法その他の労働関係法令に著しい違反があった事業主の届出
  • 兼務役員、事業主と同居する親族、在宅勤務者など、雇用関係の確認が必要な場合

確認資料の例は、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿・タイムカード、社会保険の資格取得関係書類、雇用契約書、就業規則などです。必要な範囲はケースにより異なるため、該当時は管轄ハローワークへ確認してください。

e-Gov・窓口・郵送の違い

資格取得届の提出方法と実務上の確認点です。
提出方法特徴確認点
e-Gov事業所からオンラインで申請し、審査状況や電子公文書を確認できます。電子証明書またはGビズIDなどの準備、添付ファイル、提出先の選択、電子公文書の保存方法を確認します。
ハローワーク窓口紙の資格取得届と必要な確認書類を提出します。管轄、受付時間、現行様式、控えの取扱いを事前に確認します。
郵送やむを得ず窓口へ持参できない場合に利用します。個人情報を含むため、厚生労働省の手引きは記録付郵便と、必要に応じて返信用封筒の同封を案内しています。到着日数を見込み、期限直前を避けます。

初めて対象従業員を雇う事業所の注意

出典:厚生労働省「事業主の行う雇用保険の手続き」(確認日:2026年7月28日)厚生労働省・2026-07-28確認

提出前に確認したい間違いやすい点

返戻や訂正を避けるための確認項目です。

  • 健康保険・厚生年金保険の資格取得届と提出先・期限を取り違えていない
  • パート・アルバイトという名称だけで対象外としていない
  • 試用期間や研修期間を資格取得日から外していない
  • 契約開始日が休日の場合、初出勤日ではなく契約上の雇用開始日を確認した
  • 過去の雇用保険被保険者番号を確認し、別番号の重複取得を防いだ
  • 週所定労働時間と31日以上の雇用見込みが契約書の内容と一致している
  • 昼間学生、兼務役員、同居親族などの例外を確認した
  • 外国人労働者の該当欄を漏れなく確認した
  • 翌月10日までの提出日程を確保した
  • 提出後の被保険者証と確認通知書を従業員へ渡す担当者を決めた

提出期限を過ぎた場合

翌月10日を過ぎても資格取得届が不要になるわけではありません。雇用開始日、加入要件、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、雇用契約書などを整理し、管轄ハローワークへ速やかに相談・提出してください。期限後の届出では確認書類が必要です。

よくある質問

パートやアルバイトも資格取得届の対象ですか?

対象になる場合があります。呼び方や本人の希望ではなく、週の所定労働時間、雇用見込み、学生などの適用除外を確認して判定します。

学生を週20時間以上雇う場合は必ず加入しますか?

必ずではありません。昼間学生は原則対象外ですが、卒業後も継続勤務する予定、休学中などの例外があります。学校の課程と雇用状況を確認し、判断が難しい場合は管轄ハローワークへ確認してください。

従業員が雇用保険への加入を希望しない場合は届出不要ですか?

不要にはできません。適用要件を満たし、適用除外に当たらない場合は、本人の希望にかかわらず事業主が資格取得届を提出します。

雇用契約書や出勤簿は毎回添付しますか?

毎回ではありません。通常の期限内届出は原則添付不要です。初回、期限後、届出内容の確認が必要なケースなどでは、雇用契約書、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿等を提出します。

公式情報と確認日

この記事は、2026年7月28日時点の厚生労働省の公式案内と、同日時点で公式掲載されている「雇用保険事務手続きの手引き【第2編】令和7年8月版」で確認しています。加入判定や提出書類は雇用形態と事業所の状況で異なるため、提出時は管轄ハローワークの最新案内も確認してください。

次にすること

まず雇用契約書で週所定労働時間と31日以上の雇用見込みを確認し、マイナンバー、過去の被保険者番号、資格取得日、賃金をそろえてください。現行様式を作成し、翌月10日までに管轄ハローワークへ提出します。採用時に必要な健康保険・厚生年金保険の資格取得届は別の手続きとして確認してください。

健康保険・厚生年金保険の資格取得手続きを確認する従業員採用時の社会保険資格取得届|5日以内・必要書類・提出方法会社設立時などの社会保険新規適用手続きを確認する社会保険の新規適用届の書き方|5日以内・必要書類・提出方法