結論:期限を過ぎても申告はできます。速やかに期限後申告を行います
準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。期限を過ぎても申告義務はなくならず、できるだけ早く被相続人の死亡当時の納税地を所轄する税務署へ申告・納税します。納める税金がある場合は延滞税や無申告加算税が課されることがあり、還付を受けるだけの場合は翌年1月1日から5年間は還付申告が可能です。国税庁の公式情報(2026年8月28日確認)で整理します。
対象者と期限の起算日を確認する
対象は、年の中途で亡くなった方の1月1日から死亡日までに確定した所得について申告が必要だった方です。相続人(包括受遺者を含む)が申告します。
期限の起算日と例外
- 起算日:相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内(国税庁 No.2022)
- 相続人が2人以上いる場合は連署が原則ですが、各人が別々に提出し他の相続人へ通知する方法も可能です
- 前年分の確定申告を3月15日までにしないまま1月1日〜3月15日に死亡した場合は、前年分と本年分をいずれも同じ4か月の期限内に申告します
- 申告先は被相続人の死亡当時の納税地の税務署長です。相続人の住所地ではありません
期限を過ぎたらどうなるか
期限を過ぎた場合でも、申告をしなくてよいわけではありません。期限後申告として扱われます。
期限後の扱い
- 納める税金がある場合:申告書を提出した日が納期限となり、法定納期限の翌日から延滞税を併せて納付する必要があります
- 無申告加算税:調査の事前通知前に自主的に申告すれば原則5%、事前通知後に申告すれば10%(令和5年分以降は段階的に10%・15%・25%)など、申告時期により割合が変わります。法定期限から1か月以内の自主申告など一定の要件を満たせば加算税がかからない場合もあります(国税庁 No.2024)
- 還付だけの場合:確定申告期間とは関係なく、翌年1月1日から5年間は還付申告が可能です。準確定申告で還付を受ける場合も同様に5年の範囲で申告できます(国税庁 No.2030)
- 所得控除の判定は死亡日の現況で行い、医療費控除や社会保険料控除は死亡日までに被相続人が支払ったものに限られます
期限後に申告・納税する手順
必要書類をそろえる:準確定申告書、確定申告書付表は必須です。相続人が2人以上なら確認書、代表者が還付金をまとめて受け取るなら委任状も用意します。
申告書を作成する:死亡日から1月1日〜死亡日までの所得と税額を計算します。e-Taxで提出する場合はe-Taxソフト等を利用します。確定申告書等作成コーナーからは準確定申告書は作成できません。
付表と確認書を添付する:付表には各相続人の氏名・住所・続柄を記入します。e-Taxでは申告書(XML)と付表(XML)に加え、確認書や委任状はPDFで送信します。
税務署へ提出し納付する:被相続人の死亡当時の納税地の税務署へe-Tax・郵送・窓口で提出します。相続人代表の利用者識別番号と電子証明書で送信し、税理士が代理送信する場合は税理士の電子証明書で代表者の証明書は省略できます。
延滞税・加算税と還付を確認する:納税がある場合は納付と併せて延滞税を計算し、加算税の有無を税務署へ確認します。還付の場合は振込先口座を正確に記入し、処理状況をe-Taxのメッセージボックス等で確認します。
必要書類と提出方法の分岐
| 書類 | 必要な場合 | 提出方法・備考 |
|---|---|---|
| 所得税及び復興特別所得税の準確定申告書 | 必須 | 紙またはe-Tax(XML) |
| 死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表 | 必須(相続人1名でも) | 紙またはe-Tax(XML)必ず添付 |
| 準確定申告の確認書 | 相続人が2人以上 | 各相続人が内容を確認し署名、e-TaxはPDF |
| 委任状(準確定申告用) | 代表者が還付金を一括受領 | 各相続人が署名、e-TaxはPDF |
| 源泉徴収票・控除証明書等 | 所得控除・税額控除を適用 | 死亡日までに支払ったものに限る |
e-Taxで提出するときの注意点
e-Taxのポイント
- 対応開始は令和2年1月6日以降提出の令和2年分以後です。令和元年分以前は電子申告できません
- 国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーからは作成不可。e-Taxソフト・e-Taxソフト(WEB版)等を使います
- 相続人代表1名分の利用者識別番号と電子証明書で送信します。税理士が代理送信する場合は税理士の電子証明書で代表者の証明書は省略可能です
- 氏名欄は「(被相続人)国税太郎」または「(被相続人)国税太郎(相続人)国税花子」のように30文字以内・全角で入力します
還付と5年の期限
準確定申告で所得税が還付になる場合、還付申告は翌年1月1日から5年間提出できます。期限を4か月過ぎても、納める税金がなく還付だけの場合は5年の範囲で申告すれば還付を受けられます。ただし青色申告特別控除65万円などを期限内申告が要件の特例は、期限後では適用できない場合があります。
よくある質問
4か月の期限を1日でも過ぎたら加算税は必ずかかりますか?
必ずではありません。調査の事前通知前に自主的に期限後申告を行い、法定申告期限から1か月以内など一定の要件を満たせば無申告加算税がかからない場合があります。納税額が0円や還付の場合は加算税の対象外です。詳細は国税庁No.2024や所轄税務署へご確認ください。
相続人が遠方に住んでいても、自分の住所地の税務署へ出せますか?
いいえ。提出先は被相続人の死亡当時の納税地を所轄する税務署です。相続人の住所地ではありません。郵送やe-Taxでも提出できます。
準確定申告をしなかったら相続税の申告に影響しますか?
準確定申告で納付した所得税は相続税の債務控除の対象になる場合があります。期限後に申告した場合でも、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)までに準確定申告を行えば、原則として債務控除に含められます。相続税の手続きと併せて税務署・税理士へご確認ください。
次の行動と相談先
期限を過ぎたと気づいたら、まず被相続人の源泉徴収票や控除証明書を集め、付表と確認書を用意して所轄税務署へ相談・提出します。国税に関する相談は国税局電話相談センター(国税庁「税についての相談窓口」)が利用できます。e-Taxの操作が不明なときはe-Taxヘルプデスクへお問い合わせください。