退職所得の受給に関する申告書は、退職金を受け取る居住者が、支給を受けるまでに退職手当等の支払者へ提出します。税務署へ自分で提出する書類ではありません。提出しない場合は、支給額の20.42%が所得税・復興特別所得税として源泉徴収されます。

手続きの概要

提出時期、提出先、必要書類の基本を整理します。
項目内容
対象者国内で退職手当等の支払を受ける居住者
提出時期退職手当等の支払を受ける時まで
提出先退職手当等の支払者。通常は退職した勤務先などです。
税務署への提出受給者が税務署へ直接提出する書類ではありません。支払者が保管し、税務署長から特に求められた場合を除き、支払者から税務署への提出も不要です。
基本の書類退職所得の受給に関する申告書
追加の添付同じ年に他の退職手当等をすでに受け取っている場合は、その退職所得の源泉徴収票1部
出典:国税庁「A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

記入前に準備するもの

標準的なケースでも、次の情報を先に確認すると記入しやすくなります。

  • 令和8年1月1日以後用の退職所得の受給に関する申告書
  • 退職年月日
  • 今回の退職手当等の計算の基礎となる勤続期間
  • 同じ年に他の退職手当等を受け取っていないか
  • 前年以前に退職手当等や確定拠出年金の老齢一時金を受け取っていないか
  • 同じ年に他の退職手当等を受け取った場合は、その退職所得の源泉徴収票
退職所得の受給に関する申告書(令和8年1月1日以後用PDF)を確認する国税庁が掲載する令和8年1月1日以後用の申告書は2ページのPDFです。1ページ目が申告書、2ページ目が注意事項と書き方です。

退職所得の受給に関する申告書の書き方

勤務先などから受け取った用紙が、退職手当等の支払日に対応する様式か確認します。2026年1月1日以後の支払には、国税庁が掲載する「令和8年1月1日以後用」を使用します。

申告書の基本情報欄を記入します。支払者から記入済みの部分や社内の記入指示がある場合は、その案内に従います。

①欄に退職年月日を記入します。会社役員等で株主総会などの決議が必要な退職手当等は、決議により支給額が具体的に定められた年月日を記入します。

②欄で、在職中に障害者となったことが直接の原因で退職した場合は「障害」を選び、該当しない場合は「一般」を選びます。年の1月1日現在に生活扶助を受けているかどうかも記入します。

③欄に、今回の退職手当等の計算の基礎となる勤続期間と勤続年数を記入します。勤続年数に1年未満の端数がある場合は1年に切り上げます。過去の勤務期間を通算している場合などは、支払者に計算の基礎を確認してください。

その年中に別の支払者から退職手当等をすでに受け取っている場合は、申告書の該当欄に支払済みの内容を記入し、その退職所得の源泉徴収票を添付します。

前年以前の退職手当等や確定拠出年金の老齢一時金がある場合は、申告書の追加欄を確認します。確認対象となる期間は4年・9年・19年に分かれる場合があるため、自己判断で空欄にせず、支払者の給与・退職金担当または国税の相談窓口へ確認します。

記載内容と添付書類を確認し、退職手当等の支払を受けるまでに支払者へ提出します。支払者が設ける社内期限がある場合は、その期限を優先します。

勤続年数は1年未満を切り上げる

今回の退職手当等についての勤続年数は、原則として支払者の下で引き続き勤務した期間を基にし、1年に満たない端数は1年に切り上げます。例えば勤続期間が10年2か月なら、申告書上の勤続年数は11年です。ただし、過去の勤務期間を通算している場合や、前の退職手当等の計算に使った期間がある場合は単純計算できません。

出典:国税庁「退職所得の受給に関する申告書」2ページ目の記載要領、国税庁「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

申告書を提出しないと20.42%が源泉徴収される

申告書を提出しない場合は、退職手当等の支給額に20.42%を乗じた所得税・復興特別所得税が源泉徴収されます。退職所得控除や通常の退職所得の計算を反映した税額とは異なります。受給者本人が確定申告を行い、所得税・復興特別所得税を精算します。

同じ年に複数の退職金を受け取る場合

同じ年に2か所以上から退職手当等を受け取る場合、後から支払う側は、先に支払われた退職手当等を含めて源泉徴収税額を計算します。申告書には先の支払者、支給額、源泉徴収税額、支払年月日、勤続期間などを記入し、先に受け取った退職所得の源泉徴収票を添付します。

出典:国税庁「退職所得の受給に関する申告書に支払済の退職手当を記載しないで提出した場合の是正方法」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

提出前の確認チェックリスト

支払者へ渡す前に確認します。

  • 支払日に対応する現行様式を使っている
  • 退職年月日を確認した
  • 勤続期間と1年未満を切り上げた勤続年数を確認した
  • 障害退職・生活扶助の該当有無を確認した
  • 同じ年に他の退職手当等を受け取っていないか確認した
  • 同年中の他の退職手当等がある場合は退職所得の源泉徴収票を添付した
  • 過去の退職金や確定拠出年金の一時金がある場合は支払者へ確認した
  • 退職手当等の支払を受けるまで、または社内期限までに提出する

よくある質問

退職所得の受給に関する申告書は税務署へ提出しますか?

受給者が税務署へ直接提出する書類ではありません。支払者が保管し、税務署長から特に提出を求められた場合を除き、支払者から税務署へ提出する必要もありません。

提出期限は退職日ですか?

国税庁の手続案内上は、退職手当等の支払を受ける時までです。ただし、勤務先が事務処理のために早い社内期限を設けることがあるため、勤務先の案内を確認してください。

申告書を出し忘れたらどうなりますか?

まず支払者へ源泉徴収の処理状況を確認してください。未提出として20.42%が源泉徴収された場合は、受給者本人が確定申告で税額を精算します。同年中の別の退職手当等を記載しなかったために徴収不足となったケースとは是正方法が異なります。

給与所得の源泉徴収票を添付すればよいですか?

いいえ。同年中の別の退職手当等について必要なのは「退職所得の源泉徴収票」です。退職前の給与について交付される「給与所得の源泉徴収票」とは別の書類です。

公式情報と確認日

この記事は、国税庁の手続案内、令和8年1月1日以後用の申告書、退職手当等の源泉徴収に関するタックスアンサー、同年中の支払済み退職手当を記載しなかった場合の質疑応答事例を、2026年7月28日に確認して作成しています。

次にすること

勤務先などから申告書を受け取ったら、退職年月日と勤続期間を確認し、同じ年や前年以前に退職手当等・確定拠出年金の一時金を受け取っていないか整理してください。複数の支給がある場合は、過去の退職所得の源泉徴収票をそろえて支払者へ確認し、支給前の社内期限までに提出します。

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