令和8年分の扶養控除等申告書は、本人情報と該当する配偶者・親族・障害者等の情報を記入し、原則として主たる勤務先へ最初の給与支払日の前日までに提出します。前年から記載事項に異動がなければ、勤務先の指示により簡易な申告書を使える場合があります。
令和8年分扶養控除等申告書の概要
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 給与所得者。日額表の丙欄が適用される人などは提出不要です。 |
| 提出期限 | 令和8年の最初の給与支払日の前日。中途就職者は就職後最初の給与支払日の前日です。 |
| 提出先 | 主たる給与の支払者である勤務先 |
| 扶養親族がいない場合 | 本人欄などを記載して原則提出します。 |
| 2か所以上から給与を受ける場合 | 原則として1か所の主たる勤務先にだけ提出します。 |
| 記載内容に異動があった場合 | 異動後最初の給与支払日の前日までに異動申告書を提出するか、提出済み申告書を補正します。 |
| 提出方法 | 紙または勤務先が指定する電子的な方法。社内システムや年調ソフトの利用可否は勤務先へ確認します。 |
提出前に用意する情報
記入を始める前に、本人と家族の令和8年中の状況を整理します。
- 勤務先から配布された令和8年分の申告書または国税庁の現行様式
- 本人の氏名、住所、生年月日、世帯主と続柄、個人番号の取扱いに関する勤務先の指示
- 配偶者・親族の氏名、続柄、生年月日、住所、個人番号の取扱い
- 配偶者・親族の令和8年中の収入見込みと、収入から計算した所得の見積額
- 配偶者・親族が国内居住者か非居住者か
- 老人扶養親族、特定扶養親族、特定親族、障害者などの該当区分
- 16歳未満の扶養親族と、退職手当等を受ける配偶者・親族の情報
- 前年に同じ勤務先へ提出した申告書から異動があるか
扶養控除等申告書を記入する手順
申告書上部の本人欄へ、氏名、フリガナ、住所または居所、生年月日、世帯主の氏名と続柄などを記入します。個人番号は一定の要件で省略できる場合があるため、勤務先の指示を確認してください。給与の支払者の法人番号は勤務先が付記する欄で、給与所得者が記入する必要はありません。
A欄には、令和8年分申告書の要件を満たす源泉控除対象配偶者がいる場合に記入します。申告者本人の令和8年中の所得見積額が900万円以下で、配偶者の所得見積額が95万円以下であることなどを確認します。給与収入だけの場合、配偶者の収入目安は160万円以下です。
B欄には源泉控除対象親族を記入します。令和8年分申告書の記載例では、16歳以上の控除対象扶養親族と、19歳以上23歳未満で所得見積額が58万円超100万円以下の特定親族などが対象です。老人扶養親族、特定扶養親族・特定親族、非居住者の区分も該当欄で示します。
C欄では、本人、同一生計配偶者、扶養親族の障害者区分と、本人の寡婦・ひとり親・勤労学生の該当状況を記入します。障害者または勤労学生に該当する場合は、手帳の種類・等級や学校名など、申告書が求める内容も記入します。
同じ生計内に所得者が2人以上おり、配偶者や親族を他の所得者の扶養親族等として申告する場合は、D欄へその氏名や続柄、他の所得者の情報を記入します。同じ親族について複数人が重複して控除を受けないよう確認してください。
住民税に関する事項へ、16歳未満の扶養親族や、退職手当等を受ける配偶者・扶養親族・特定親族のうち該当する人を記入します。16歳未満の子は所得税の扶養控除の対象外でも、住民税欄への記載が必要です。
氏名、生年月日、続柄、所得見積額、住所、区分のチェックを見直し、勤務先が定める提出方法で提出します。年の途中で家族の就職・退職、所得見込み、婚姻、離婚、出生、死亡、住所などに異動が生じた場合は、異動後最初の給与支払日の前日までに更新します。
A欄から住民税欄までの書き分け
| 欄 | 主な記入対象 | 主な確認点 |
|---|---|---|
| A 源泉控除対象配偶者 | 本人と生計を一にする配偶者のうち、本人・配偶者の所得要件等を満たす人 | 年末調整で配偶者控除・配偶者特別控除を受けるには、別の配偶者控除等申告書も必要です。 |
| B 源泉控除対象親族 | 16歳以上の控除対象扶養親族、一定の19歳以上23歳未満の特定親族 | 年齢、所得見積額、老人・特定・非居住者の区分を確認します。 |
| C 障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生 | 本人や一定の配偶者・扶養親族の障害者区分、本人の寡婦等 | 障害の内容や勤労学生の学校名等を記載します。 |
| D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等 | 同じ生計内の別の所得者が控除対象とする配偶者・親族 | 重複申告を避けるため、控除を受ける他の所得者を記載します。 |
| 住民税に関する事項 | 16歳未満の扶養親族、退職手当等を受ける配偶者・親族など | 所得税の控除欄へ書かない16歳未満の親族も確認します。 |
「所得の見積額」の確認方法
所得の見積額は、令和8年1月1日から12月31日までに見込まれる各所得の合計です。給与所得は給与収入から給与所得控除額を差し引き、事業所得や雑所得は収入から必要経費を差し引きます。給与以外の所得がある場合は合算して判定します。
| 給与収入 | 申告書の記載例上の所得金額 | 主に関係する基準 |
|---|---|---|
| 123万円 | 58万円 | 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件の目安 |
| 160万円 | 95万円 | 源泉控除対象配偶者の所得要件の目安 |
| 165万円 | 100万円 | 令和8年分申告書上の源泉控除対象となる特定親族の目安 |
2026年12月1日の税制改正に伴う異動申告
令和8年度税制改正により、扶養親族・同一生計配偶者などの所得要件は2026年12月1日から引き上げられます。令和8年分扶養控除等申告書の記載項目自体は変わりませんが、改正によって新たに対象となる親族がいる場合は、異動内容を記載した申告書を勤務先へ提出します。
| 区分 | 改正後の所得要件 | 給与収入だけの場合の目安 |
|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者 | 62万円以下 | 136万円以下 |
| 特定親族 | 62万円超123万円以下 | 136万円超197万円以下 |
| 勤労学生 | 89万円以下 | 163万円以下 |
2026年12月の異動申告では、次の点を確認します。
- 改正で新たに扶養親族等の要件を満たす親族がいないか確認する
- 該当する親族を扶養控除等申告書の対応する欄へ追加する
- 「異動月日及び事由」欄へ「令和8年12月1日 改正」などと記載する
- 原則として12月1日以後最初の給与支払日の前日までに提出する
- 年末調整を行う時までに提出できた場合は、勤務先がその申告に基づいて年末調整できる
- 2026年11月30日以前に支払う給与の扶養親族等の数には、改正で新たに対象となる親族を含めない
簡易な扶養控除等申告書を使える条件
前年に同じ勤務先へ提出した扶養控除等申告書から、令和8年分に記載すべき事項に異動がない場合は、勤務先の指示に基づいて簡易な申告書を提出できます。簡易対応様式では、本人の氏名、住所または居所、個人番号の取扱いを確認し、「前年の申告内容からの異動なし」にチェックします。
簡易な申告書を使う前に、前年から次のような異動がないか確認します。
- 本人の氏名や住所
- 配偶者・扶養親族の追加または削除
- 配偶者・親族の所得見込みや年齢区分
- 障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生の該当状況
- 非居住者である親族の状況
- 他の所得者が控除を受ける扶養親族等
- 16歳未満の扶養親族や住民税欄の記載事項
- 2026年12月1日の改正により新たに扶養対象となる親族
添付書類が必要になる主なケース
| ケース | 主な書類・確認 |
|---|---|
| 年の中途で就職し前職がある | 前の勤務先から交付された源泉徴収票など |
| 勤労学生で、専修学校・各種学校の生徒や職業訓練法人の訓練生に該当 | 文部科学大臣または厚生労働大臣の証明書の写しと、学校長または職業訓練法人代表者の証明書 |
| 非居住者である親族を記載 | 親族関係書類。30歳以上70歳未満の留学者は留学ビザ等書類も確認 |
| 年末調整で非居住者の扶養控除等を受ける | 送金関係書類。条件により38万円送金書類 |
| 国内居住の配偶者・親族を記載 | 国税庁の手続案内上、一律の所得証明書添付は示されていません。勤務先が確認資料を求める場合はその案内に従います。 |
よくある記入ミス
提出前に次の誤りがないか確認します。
- 扶養親族がいないため申告書を提出しない:扶養の有無にかかわらず主たる勤務先へ原則提出します。
- 2か所の勤務先へ通常の扶養控除等申告書を提出する:原則として主たる給与の支払者1か所に提出します。
- 給与の額面年収を所得の見積額欄へそのまま記入する:給与所得控除後の所得を確認します。
- 16歳未満の子をどこにも書かない:所得税のB欄ではなく、住民税に関する事項を確認します。
- A欄へ配偶者を書けば配偶者控除の年末調整も完了すると思う:配偶者控除等申告書は別に提出します。
- 前年から異動があるのに簡易な申告書を使う:通常様式で変更後の内容を申告します。
- 2026年12月の判定を申告書裏面の改正前基準だけで行う:令和8年度税制改正Q&Aで新たな対象者を確認します。
- 家族内で同じ親族を重複して扶養申告する:誰が控除を受けるかを確認します。
提出前チェックリスト
勤務先へ提出する前の最終確認です。
- 令和8年分の現行様式を使っている
- 主たる勤務先へ提出する書類である
- 本人の氏名、住所、生年月日、世帯主との続柄を確認した
- 個人番号の記載方法を勤務先へ確認した
- 配偶者・親族の所得を収入ではなく所得の見積額で確認した
- AからD欄と住民税欄の対象を分けた
- 非居住者、勤労学生、前職がある場合の添付書類を確認した
- 簡易な申告書を使う場合は前年から異動がないことを確認した
- 2026年12月の改正で新たに対象となる親族を確認した
- 勤務先の社内期限と提出方法を確認した
よくある質問
独身で扶養家族がいなくても提出しますか?
原則として提出します。提出しない場合は月々の源泉徴収で甲欄による諸控除を受けられず、年末調整も行われません。日額表の丙欄が適用される人などは提出不要です。
副業先にも扶養控除等申告書を提出しますか?
通常の扶養控除等申告書は、原則として主たる勤務先1か所に提出します。一定の場合は従たる給与についての扶養控除等申告書を利用できますが、通常様式を複数の勤務先へ重複提出しないでください。
配偶者や子の年収がまだ確定していない場合はどうしますか?
勤務状況や給与明細などから令和8年中の収入と所得を見積もって記入します。就職、退職、勤務時間の変更などで見込みが変わった場合は、異動後最初の給与支払日の前日までに勤務先へ変更を申告してください。
簡易な扶養控除等申告書は誰でも使えますか?
誰でも自由に使えるわけではありません。前年から異動がないことを確認し、勤務先の指示に従って使用します。2026年12月の改正で新たに扶養対象となる親族がいる場合は異動があるため、通常の異動申告を確認してください。
2026年12月の税制改正で申告書を書き直す必要がありますか?
改正によって新たに扶養親族等の対象となる親族がいる場合は、その親族を追加した申告書を勤務先へ提出します。「異動月日及び事由」欄には「令和8年12月1日 改正」などと記載します。該当者がいなければ、改正だけを理由に全員が書き直すわけではありません。
扶養控除等申告書を出せば年末調整は完了しますか?
いいえ。基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、特定親族特別控除、保険料控除、住宅ローン控除などを受ける場合は、勤務先から案内される別の申告書や証明書も確認してください。
公式情報と確認日
国税庁「A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認国税庁「令和8年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認国税庁「記載例 令和8年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認次にすること
勤務先から受け取った令和8年分の申告書と前年分の控えを並べ、本人情報、配偶者・親族の所得見込み、年齢・居住区分、住民税欄の順に確認してください。2026年12月の年末調整では、改正により新たに対象となる親族がいないかを再確認し、該当する場合は年末調整前に異動申告を提出します。
扶養控除等申告書を提出した後の甲欄・乙欄と税額表を確認する令和8年分源泉徴収税額表の見方|甲欄・乙欄と12月改正の注意点2026年12月の所得要件・基礎控除・年末調整の変更点を確認する【2026年税制改正】所得税は何が変わる?基礎控除104万円・178万円の壁と年末調整19歳以上23歳未満の親族に関する控除と別の申告書を確認する特定親族特別控除とは?対象者・年収と控除額・年末調整の手続き国税庁の現行様式を確認する国税庁「令和8年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」