医療費控除の申告では、確定申告書と「医療費控除の明細書」が基本です。領収書は原則として提出せず、明細書を作るために使い、確定申告期限等から5年間保存します。

医療費控除の必要書類一覧

提出する書類、利用する場合だけ必要な書類、提出せず保存する資料を分けて確認します。
書類・資料提出・保存の扱い主な用途
所得税及び復興特別所得税の確定申告書提出します。e-Taxでは申告データを送信します。所得、所得控除、税額、還付先などを申告します。
医療費控除の明細書確定申告書に添付します。確定申告書等作成コーナーでは入力内容から作成されます。医療費通知の金額、通知以外の医療費、補てん金、控除額を整理します。
医療費の領収書原則として提出しません。明細書に記載した分は確定申告期限等から5年間保存します。実際に支払った金額、受診者、病院・薬局、支払内容を確認します。
医療費通知(医療費のお知らせ)記載を簡略化する場合に利用します。書面申告で利用する場合は添付します。通知に記載された医療費を明細書の「医療費通知に関する事項」へ反映します。
特定費用の証明書等おむつ代など、対象費用に応じて必要になる場合があります。対象費用について医師等の証明内容を確認します。
給与所得の源泉徴収票などの所得資料源泉徴収票は原則として確定申告書への添付不要ですが、申告書作成時に内容を確認します。給与収入、所得控除、源泉徴収税額などを入力します。
出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」「A1-1 申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

医療費控除を申告できる条件と計算方法

その年の1月1日から12月31日までに、自分または自分と生計を一にする配偶者・その他の親族のために医療費を支払い、一定額を超えた場合に医療費控除を受けられます。未払い分は、実際に支払った年の対象です。

通常の医療費控除額は、支払額から補てん金と基準額を差し引いて計算します。控除額の上限は200万円です。
計算項目内容
実際に支払った医療費対象年の1月1日から12月31日までに実際に支払った対象医療費を合計します。
保険金などで補てんされる金額入院給付金、高額療養費、出産育児一時金など、医療費を補てんする金額を該当する医療費から差し引きます。
差し引く基準額原則10万円です。総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%です。
医療費控除額「支払った医療費-補てん金-基準額」で計算し、最高200万円です。
出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

明細書を作る前に対象となる医療費を分ける

代表的な対象・対象外の例です。実際の判定は治療目的、病状、支出内容により異なります。
区分代表例
対象になり得る医療費医師・歯科医師の診療や治療、治療に必要な医薬品、診療を受けるため通常必要な電車・バス等の通院費など
原則として対象外予防目的の健康診断、健康増進目的のビタミン剤、治療に直接関係しない施術、自家用車で通院した場合のガソリン代・駐車料金など
個別確認が必要介護サービス、おむつ代、治療用器具、妊娠・出産、歯科治療など、要件や証明書が定められている費用
出典:国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

医療費控除の明細書を書く手順

対象年の領収書、医療費通知、通院費の記録、保険金・高額療養費・出産育児一時金など補てん金の資料を集めます。給与所得者は、申告書作成用に源泉徴収票も用意します。

領収書や記録を確認し、医療費控除の対象になる費用と対象外の費用を分けます。対象年にまだ支払っていない費用は、その年の明細へ含めません。

医療費通知を使う場合は、通知に記載された医療費の合計、実際に支払った額、生命保険や社会保険などで補てんされる額を、明細書の「医療費通知に関する事項」へ記入します。

医療費通知に載っていない自由診療、通知への反映が間に合わない医療費、通院費などは、領収書や記録に基づいて「医療費(上記1以外)の明細」へ記入します。

通知以外の医療費は、「医療を受けた方の氏名」と「病院・薬局などの支払先の名称」ごとにまとめて記入できます。診療・治療、医薬品購入、介護保険サービス、その他の医療費の区分も確認します。

実際に支払った医療費と、その医療費を補てんする保険金等を記入します。補てん金が申告時点で未確定なら見込額で計算し、後で確定額が異なった場合は修正申告または更正の請求で訂正します。

明細書の「控除額の計算」で、支払医療費、補てん金、所得金額、基準額を順に計算し、確定申告書の医療費控除欄へ反映します。

e-Taxで申告データを送信するか、作成した確定申告書と明細書を書面で所轄税務署へ提出します。提出後も、保存対象の領収書や証明書を5年間保管します。

出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)Q&A」「医療費控除に関する手続について(Q&A)」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

医療費通知を使うときの確認点

医療費通知を使うと、通知に記載された部分について明細書の記載を簡略化できます。ただし、通知の内容と実際の支払額、通知に載っていない医療費を確認する必要があります。

医療費控除で利用する医療費通知は、原則として次の項目が記載されたものを確認します。

  1. 被保険者等の氏名
  2. 療養を受けた年月
  3. 療養を受けた者
  4. 療養を受けた病院・診療所・薬局等の名称
  5. 被保険者等が支払った医療費の額
  6. 保険者等の名称
医療費通知の状態に応じた対応です。
状況対応
必要項目がそろっている通知の金額を明細書の医療費通知欄へ反映し、書面申告で利用する場合は通知を添付します。
病院名や自己負担額などが欠けている領収書等で補完するか、該当分を通知以外の医療費として明細書へ記載します。補完・記載した分の領収書は5年間保存します。
自由診療や年末分など通知にない医療費がある通知分とは別に、領収書や記録から明細書の「医療費(上記1以外)の明細」へ追加します。
自治体助成などが通知に反映されていない実際に負担した医療費を基に計算し、補てん・減免分を反映します。
出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)Q&A」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

領収書と証明書を5年間保存する範囲

提出を省略できても、保存が必要な資料があります。
資料保存の考え方
領収書を基に明細書へ記載した医療費確定申告期限等から5年間保存します。税務署から提示または提出を求められる場合があります。
必要項目を満たす医療費通知を添付した部分通知に記載された部分は領収書の保存を省略できます。通知にない医療費の領収書は保存します。
不足項目を領収書で補完した医療費補完した部分の領収書を5年間保存します。
添付を省略したおむつ使用証明書など証明年月日、証明書名、証明者名等を明細書に記載して添付を省略した場合も、証明書等を5年間保存します。
出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」「医療費控除に関する手続について(Q&A)」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

申告期限と提出先

医療費控除だけを理由に還付申告する場合と、もともと確定申告義務がある場合で期限の考え方が異なります。
申告区分期限提出先
医療費控除による還付申告のみ医療費を支払った年の翌年1月1日から5年間申告時の納税地を所轄する税務署。e-Taxで提出することもできます。
確定申告義務がある方の申告対象年分の法定申告期限まで。所得税は原則として翌年3月15日です。申告時の納税地を所轄する税務署またはe-Tax
すでに提出した申告の控除漏れを直す申告状況により更正の請求などを確認します。所轄税務署または対応する電子手続き
出典:国税庁「No.2030 還付申告」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

提出前チェックリスト

医療費控除を申告する前の確認項目です。

  • 対象年の1月1日から12月31日までに実際に支払った医療費を集めた
  • 自分と生計を一にする配偶者・親族のために支払った医療費を確認した
  • 対象になる医療費と対象外の支出を分けた
  • 医療費通知に載っていない医療費を領収書や記録から追加した
  • 保険金、高額療養費、出産育児一時金、自治体助成などの補てん額を確認した
  • 医療費通知の必要項目と実際の負担額を確認した
  • 領収書から記載した分を5年間保存できるよう整理した
  • 源泉徴収票など所得と源泉徴収税額を確認できる資料を用意した
  • 還付申告か通常の確定申告かを確認し、期限を判断した
  • 確定申告書、医療費控除の明細書、必要な通知・証明内容を最終確認した

よくある質問

医療費の領収書は確定申告書に全部添付しますか?

原則として添付しません。領収書を基に医療費控除の明細書を作成し、領収書は自宅等で5年間保存します。医療費通知を添付した部分など、保存を省略できる範囲は分けて確認してください。

医療費通知に載っていない医療費は申告できませんか?

通知にないことだけで対象外にはなりません。医療費控除の対象になる支出であれば、領収書や記録に基づいて明細書の通知以外の医療費欄へ記入し、領収書を5年間保存します。

家族の医療費も一緒に申告できますか?

できます。自分または自分と生計を一にする配偶者・その他の親族のために支払った対象医療費を確認します。誰が実際に支払ったか、生計を一にしているかが個別判断になる場合は税務署へ確認してください。

医療費が10万円以下なら医療費控除は使えませんか?

一律に使えないわけではありません。総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%が基準額です。補てん金を差し引いた後の医療費と基準額を使って計算してください。

会社員は勤務先の年末調整で医療費控除を申告できますか?

医療費控除は年末調整ではなく、確定申告で手続きします。源泉徴収票で給与や源泉徴収税額を確認し、確定申告書と医療費控除の明細書を作成してください。

公式情報と確認日

この記事は2026年7月28日時点で、国税庁の医療費控除、対象医療費、現行様式、医療費通知のQ&A、還付申告の公式情報を確認しています。対象性や補てん金の計算が個別事情で変わる場合は、国税庁の案内または所轄税務署へ確認してください。

国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認国税庁「A1-1 申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)Q&A」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認国税庁「No.2030 還付申告」(確認日:2026年7月28日)国税庁・2026-07-28確認

次にすること

まず、対象年の領収書、医療費通知、補てん金の資料、源泉徴収票などの所得資料をそろえてください。次に国税庁の医療費控除の明細書または確定申告書等作成コーナーを開き、通知分と通知以外の医療費を分けて入力します。

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