令和8年分・令和9年分の所得税では、年齢23歳未満の扶養親族がいる方について、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に引き上げられます。介護医療保険料控除と個人年金保険料控除を含む生命保険料控除全体の上限12万円は変わりません。

令和8年分・令和9年分の変更点

23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例について、通常の取扱いとの違いを整理します。
確認項目通常の新生命保険料23歳未満の扶養親族がいる場合
一般生命保険料控除の新契約分年間支払額に応じて計算し、上限4万円特例の計算式を使い、上限6万円
新契約と旧契約を併用する場合の一般分新旧を合算する方法の上限は4万円特例を適用した新契約分と旧契約分を合算する方法の上限は6万円
介護医療保険料控除上限4万円変更なし
個人年金保険料控除上限4万円変更なし
3区分の合計上限12万円12万円のまま

この特例は令和8年分の所得税から適用されます。当初の適用期限は令和8年分でしたが、令和8年度税制改正により令和9年分まで延長されました。

出典:国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」7ページ(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認

特例の対象になる人

控除を受ける本人が、その年の12月31日時点で年齢23歳未満の「扶養親族」を有していることが条件です。令和8年分の申告書では、生年月日が平成16年1月2日以後の扶養親族について、氏名、個人番号、生年月日、続柄、合計所得金額の見積額などを記入する欄が設けられています。

23歳未満の扶養親族に該当するかを確認する主な条件です。
条件令和8年分の確認内容
年齢令和8年12月31日時点で23歳未満。令和8年分申告書では平成16年1月2日以後生まれの方が対象
親族関係配偶者以外の親族、里子など、所得税法上の扶養親族の範囲に入ること
生計控除を受ける本人と生計を一にしていること
所得要件通常の令和8年12月の年末調整では合計所得金額62万円以下。給与収入だけの場合は136万円以下が目安
事業専従者青色事業専従者としてその年に給与を受けておらず、白色事業専従者でもないこと
出典:国税庁「A2-3 給与所得者の保険料控除の申告」、国税庁「No.1180 扶養控除」、令和8年分保険料控除申告書(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認

19歳以上23歳未満でも所得が多い場合は別判定

19歳以上23歳未満の親族でも、合計所得金額が62万円を超えると、通常の令和8年12月の判定では「扶養親族」ではありません。特定親族特別控除の対象になる可能性はありますが、この生命保険料控除の特例は「23歳未満であること」だけでは適用できません。扶養親族の所得要件も確認してください。

出典:国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」2ページ、令和8年分保険料控除申告書(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認

特例を使う新生命保険料の計算式

年齢23歳未満の扶養親族がいる場合、新生命保険料に係る一般生命保険料控除は次の式で計算します。計算結果に1円未満の端数があるときは切り上げます。
年間の新生命保険料一般生命保険料控除額
30,000円以下支払った新生命保険料の全額
30,000円超60,000円以下新生命保険料×1/2+15,000円
60,000円超120,000円以下新生命保険料×1/4+30,000円
120,000円超一律60,000円

例えば、一般生命保険の新契約について年間100,000円を支払った場合は、100,000円×1/4+30,000円=55,000円です。通常の新契約の計算では上限40,000円となるため、この例では所得控除額が15,000円増えます。

出典:国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」7ページ、令和8年分保険料控除申告書(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認

新契約と旧契約が混在する場合

一般生命保険料の契約区分によって計算方法が異なります。控除証明書の「新制度」「旧制度」などの表示を確認してください。
契約状況確認する計算
平成24年1月1日以後の新契約だけ特例の新生命保険料計算式を使い、上限6万円
平成23年12月31日以前の旧契約だけ旧生命保険料の従来の計算式を使い、上限5万円
新契約と旧契約の両方申告書上で新契約の特例額と旧契約額を計算し、新旧合算額は上限6万円として、旧契約単独の額とも比較
介護医療保険・個人年金保険この特例の対象外。各欄の通常の計算式で計算

令和8年分保険料控除申告書の記入手順

生命保険会社等から届いた令和8年分の生命保険料控除証明書を集めます。保険会社名、保険の種類、契約者、受取人、保険期間、新旧区分、その年に支払った保険料等の金額を確認してください。

申告書の「一般の生命保険料」欄へ、控除証明書の内容を転記します。剰余金や割戻金を受けた場合は、証明書に記載された控除後の金額を使用します。

23歳未満の扶養親族がいる場合は、「年齢23歳未満の扶養親族の有無」で「有」を選び、氏名、個人番号、生年月日、続柄、合計所得金額の見積額、住所が異なる場合の住所などを記入します。個人番号の記載方法は勤務先の指示も確認してください。

新生命保険料について、通常の計算式による額と、23歳未満の扶養親族がいる場合の特例計算式による額を申告書の指示に沿って計算します。旧生命保険料もある場合は旧契約分を計算し、申告書上で比較します。

介護医療保険料、個人年金保険料、地震保険料、社会保険料、小規模企業共済等掛金のうち申告するものがあれば、それぞれの欄を別に記入します。生命保険料控除の3区分合計は上限12万円です。

生命保険料控除証明書を添付し、勤務先が指定する紙または電子の方法で社内期限までに提出します。電子年末調整を利用する場合は、勤務先の入力画面と証明書データの提出方法に従ってください。

出典:国税庁「A2-3 給与所得者の保険料控除の申告」、令和8年分給与所得者の保険料控除申告書(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認

証明書の添付と提出期限

年末調整で生命保険料控除を受ける場合は、原則として生命保険会社等が発行した控除証明書を申告書に添付します。旧生命保険料については、支払額から剰余金や割戻金を差し引いた残額が9,000円以下であれば、国税庁の手続案内上は証明書の添付が不要です。

法令上の提出期限は、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日です。ただし、勤務先は年末調整の計算日程に合わせて早い社内期限を定めることが一般的です。証明書が届かない、再発行中、内容に誤りがある場合は、期限を過ぎるまで待たず勤務先と保険会社へ確認してください。

出典:国税庁「A2-3 給与所得者の保険料控除の申告」(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認

間違いやすいポイント

特例を正しく申告するため、次の誤りがないか確認します。

  • 生命保険料控除の3区分すべてが6万円になると思う:6万円になるのは対象者の一般生命保険料控除です。
  • 子どもが23歳未満なら所得を確認しない:税法上の扶養親族の所得要件も満たす必要があります。
  • 19歳以上23歳未満の特定親族なら必ず対象と思う:合計所得金額が扶養親族の基準を超える場合は、この特例の条件を満たしません。
  • 配偶者を23歳未満の扶養親族として記入する:所得税法上、配偶者は扶養親族に含まれません。
  • 新契約と旧契約の区分を契約日だけで自己判断する:控除証明書に記載された新制度・旧制度の表示を確認します。
  • 扶養親族の人数分だけ上限が増えると思う:一般生命保険料控除の特例上限は6万円です。
  • 控除額6万円がそのまま還付されると思う:所得控除であり、実際の減税額は個別に異なります。

提出前チェックリスト

令和8年分の年末調整で特例を申告する前の確認項目です。

  • 令和8年分の保険料控除申告書または勤務先の電子申告画面を使用している
  • 一般生命保険料の控除証明書で新契約・旧契約の区分を確認した
  • 23歳未満の扶養親族の年齢を令和8年12月31日時点で確認した
  • 扶養親族の合計所得金額の見積額を確認した
  • 通常の12月の年末調整か、11月30日以前の年末調整かを確認した
  • 扶養親族の氏名、生年月日、続柄、所得見積額などを記入した
  • 一般生命保険料の通常額と特例額、新旧契約の比較を申告書どおりに計算した
  • 生命保険料控除の3区分合計が12万円を超えていない
  • 必要な控除証明書を添付した
  • 勤務先の社内期限と提出方法を確認した

よくある質問

一般生命保険料控除の上限6万円はいつまでですか?

令和8年分から適用され、令和8年度税制改正により令和9年分まで延長されています。令和10年分以後は、その年分の公式情報を確認してください。

小学生や未就学の子も特例の対象になりますか?

対象になり得ます。この特例は16歳以上の控除対象扶養親族ではなく、23歳未満の扶養親族を条件としています。生計、所得、事業専従者ではないことなどの要件も確認してください。

大学生の子の給与収入が150万円でも対象ですか?

通常の令和8年12月の年末調整では、給与収入だけの場合の扶養親族の目安は136万円以下です。150万円の場合は特定親族特別控除の対象となる可能性はありますが、その子を理由にこの生命保険料控除の特例を適用することはできません。給与以外の所得がある場合は合計所得金額で判定します。

旧契約の生命保険だけでも上限6万円になりますか?

旧契約だけでは上限5万円です。23歳未満の扶養親族がいる場合の6万円特例は、新生命保険料の特例計算と、新旧契約を併用する場合の一般生命保険料控除に関係します。

公式情報と確認日

国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認国税庁「A2-3 給与所得者の保険料控除の申告」(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認国税庁「令和8年分給与所得者の保険料控除申告書」(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認国税庁「No.1180 扶養控除」(確認日:2026年7月27日)国税庁・2026-07-27確認

次にすること

生命保険料控除証明書が届いたら、新契約・旧契約の区分を確認し、23歳未満の扶養親族の年齢と令和8年中の所得見積額を整理してください。勤務先から年末調整の案内が届いたら、令和8年分申告書の特例欄を使い、控除証明書とともに社内期限までに提出します。

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