育児時短就業給付金は、2歳未満の子を養育するために週の所定労働時間を短縮し、賃金が下がるなどの要件を満たす雇用保険の被保険者が対象です。支給額は原則として各月に支払われた賃金の10%で、初回申請は最初の支給対象月の初日から4か月以内に行います。
育児時短就業給付金の概要
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 2歳未満の子を養育するために、週の所定労働時間を短縮して働く雇用保険の一般被保険者・高年齢被保険者 |
| 支給額 | 原則として支給対象月に実際に支払われた賃金額の10%。賃金が時短開始時賃金月額の90%を超える場合は支給率を調整 |
| 支給期間 | 原則として育児時短就業を開始した月から終了した月まで。子が2歳に達する場合などは所定の月で終了 |
| 申請者 | 原則は事業主。本人が希望する場合は本人申請も可能 |
| 初回期限 | 最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内 |
| 申請先 | 事業所所在地を管轄するハローワーク。e-Govの電子申請も利用可能 |
出典:厚生労働省「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」(確認日:2026年7月28日)
対象になるための受給資格
受給資格は、次の2点を両方満たすことが基本です。育児休業を取らず、産後休業後などから時短勤務を始める場合でも、被保険者期間の要件を満たせば対象になる可能性があります。
育児時短就業給付金の基本的な受給資格です。
- 2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する雇用保険の被保険者であること
- 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き同じ子について育児時短就業を開始したこと、または開始日前2年間に賃金支払基礎日数11日以上(該当しない月は賃金支払の基礎となった時間数80時間以上)の完全月が12か月あること
支給対象月ごとに確認する4つの条件
受給資格があっても、各月について次の条件を満たす必要があります。
- 月の初日から末日まで続けて雇用保険の被保険者である
- その月に育児時短就業をした期間がある
- 月の初日から末日まで続けて育児休業給付または介護休業給付を受けていない
- 高年齢雇用継続給付の受給対象月ではない
対象になる時短勤務・ならない働き方
| 働き方 | 取扱い |
|---|---|
| 勤務先の育児短時間勤務制度を利用 | 週の所定労働時間を短縮していれば対象になり得ます。 |
| 短時間正社員・パートタイムへ転換 | 子の養育を理由に転換前より週の所定労働時間が短くなれば対象になり得ます。 |
| フレックスタイム制 | 清算期間の総労働時間を短縮していれば対象になり得ます。総労働時間を変えず、欠勤控除だけを受ける場合は対象外です。 |
| シフト制 | 開始前後の実労働時間から週平均を計算し、短縮を確認できる場合は対象になり得ます。 |
| 早退・欠勤だけで労働時間と賃金が減った | 所定労働時間を短縮していなければ対象外です。 |
| 短縮後の週所定労働時間が20時間未満 | 原則として雇用保険の被保険者資格を失うため対象外です。子の小学校就学までに週20時間以上へ戻る前提を就業規則等で確認できる場合は例外があります。 |
出典:厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」Q58~Q72(確認日:2026年7月28日)
支給額の計算方法
| 支給対象月の賃金 | 支給額の基本 |
|---|---|
| 時短開始時賃金月額の90%以下 | 支給対象月に支払われた賃金額の10% |
| 90%超・100%未満 | 賃金と給付の合計が時短開始時賃金月額を超えないよう、支給率を調整 |
| 100%以上 | 時短前と比べて賃金が低下していないものとして不支給 |
計算に使う「支給対象月に支払われた賃金額」は、原則としてその月に実際の支払日がある賃金です。残業代も含みます。数か月分をまとめて支払う通勤手当などは、支払月以後の対象月へ所定の方法で割り振ります。
出典:厚生労働省「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」「Q&A~育児休業等給付~」Q73~Q90(確認日:2026年7月28日)
初回申請の必要書類
勤務先の人事記録や給与資料と照合し、次の書類を準備します。
- 育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書・所定労働時間短縮開始時賃金証明書
- 育児時短就業の開始日、開始前後の週所定労働時間、賃金額と支払状況を確認できる賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働条件通知書、育児短時間勤務申出書など
- 育児の事実、出産予定日、出生日を確認できる母子健康手帳、住民票、医師の診断書など
- 新たに振込先を登録する場合の口座確認書類。ただし、公金受取口座を利用する場合などは不要となることがあります
育児時短就業給付金を申請する手順
子が2歳未満であること、雇用保険の被保険者であること、子の養育を理由に週の所定労働時間を短縮することを確認します。早退・欠勤だけでなく、勤務条件として所定労働時間が短くなっている必要があります。
勤務先へ育児短時間勤務を申し出て、開始日、短縮前後の週所定労働時間、終了予定、賃金の取扱いを書面で確認します。シフト制やフレックスタイム制では、確認資料と計算方法も整理します。
事業主が育児時短就業開始時賃金の届出と受給資格確認を行います。受給資格確認と初回の支給申請は同時に行えます。育児休業から引き続き同じ子について時短就業を始めた場合、開始時賃金の届出は不要です。
最初の支給対象月について、実際に支払われた賃金額と短縮後の週所定労働時間を申請書へ記入し、賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働条件通知書などを添付します。
最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内に、事業所所在地を管轄するハローワークへ提出します。e-Govを利用する場合は「雇用保険育児時短就業給付」の初回申請手続きを選びます。
2回目以降は、原則として2つの支給対象月について2か月ごとに申請します。ハローワークが交付する次回支給申請日指定通知書の期間を確認し、賃金と週所定労働時間を証明する資料を添えて提出します。
短時間勤務制度は3歳未満、給付金は2歳未満
育児・介護休業法上、事業主が設ける短時間勤務制度は原則として3歳未満の子を養育する労働者が対象です。一方、雇用保険の育児時短就業給付金は2歳未満の子について支給されます。勤務先の時短制度を利用できても、子が2歳以上であればこの給付金の対象にはなりません。
出典:厚生労働省「短時間勤務等の措置|育児休業制度特設サイト」(確認日:2026年7月28日)
申請前に確認したい注意点
対象外や申請遅れを防ぐため、次の点を確認します。
- 所定労働時間を短縮せず、早退や欠勤だけで賃金が減っていないか
- 初回期限を時短勤務の開始日から4か月と誤解していないか
- 賃金台帳は支給対象月に実際に支払われた賃金を確認できるものか
- タイムカード等は支給対象月に実際に働いた時間を確認できるものか
- 育児休業から引き続き時短勤務を始めた場合でも、受給資格確認を省略していないか
- 短縮後の週所定労働時間が20時間未満の場合、雇用保険資格と復帰条件を書面で確認したか
- 支給限度額など毎年8月1日に改定される金額を古い資料で判断していないか
よくある質問
従業員本人が申請できますか?
本人申請も可能です。ただし、育児時短就業開始時賃金の届出が必要な場合、その届出は事業主が行います。まず勤務先へ申請方法と担当者を確認してください。
保育園の送迎で早退が増えた場合も対象ですか?
週の所定労働時間を短縮していることが必要です。所定労働時間を変えず、早退や欠勤だけで実労働時間と賃金が減った場合は対象外です。
パートタイムへ変更した場合も対象ですか?
対象になる可能性があります。雇用保険の被保険者であること、被保険者期間の要件、各月の支給要件なども満たす必要があります。
育児時短就業給付金に税金はかかりますか?
厚生労働省のQ&Aでは、育児休業等給付は非課税所得と案内されています。個別の所得や他制度への影響は、それぞれの担当窓口の案内も確認してください。
次にすること
時短勤務の開始前に、勤務先の人事・総務へ、開始日、短縮前後の週所定労働時間、初回申請の担当者、必要資料を確認してください。開始後は最初の支給対象月を特定し、その月の初日から4か月以内の期限をカレンダーに登録します。育児休業中の社会保険料免除手続きも必要な場合は、関連記事で提出期限を確認してください。
育児休業中の社会保険料免除手続きを確認する育児休業等取得者申出書の提出方法|期限・14日要件・保険料免除